3頭の龍 新天地へ 諫早・金崎地区 龍踊で長年活躍 住民高齢化に伴い 小中学校などに譲渡

白龍の搬出作業をする関係者=諫早市高来町(関係者提供)

 長崎県の諫早市高来町金崎地区で地域行事に彩りを添えてきた龍踊(じゃおどり)の3頭の龍が4日、県内の小中学校などに引き取られた。住民の高齢化で出演に必要な人員をそろえることができない状態が続き、関係者が譲渡先を探していると本紙が4月23日付紙面で報じたところ、県内外から「引き取りたい」との希望が計9件寄せられた。長年、金崎龍踊り保存会の会長を務めてきた池田忠恕さん(98)は「寂しいがホッとした。住民の思いが詰まった龍。大事に活用してほしい」と喜んでいる。
 同地区では住民が長崎に出向いて学んだ明治以降、地域行事などの際に龍踊が披露され、住民融和に一役買ってきた。しかし、龍を操る龍衆や囃子方(はやしかた)など担い手が高齢化。子どもたちも部活動や塾などで確保が難しくなり、2014年の夏祭りを最後に、その勇姿は鳴りをひそめていた。昨年末に住民の間で処分の話が持ち上がり、小道具などと一緒に地元の上金崎公民館に保管していた全長17メートルの青龍、白龍、子龍の引き取り手を探していた。

保管されていた龍と池田さん=4月19日、諫早市高来町の上金崎公民館

 本紙の報道で問い合わせが相次ぎ、住民らが話し合った結果、青龍は西彼長与町立高田中(大串久隆校長)への譲渡が決定。白龍は、東京を拠点に活動している本県出身者らの龍踊愛好家グループ「東龍倶楽(くら)部(ぶ)」の渉外担当、岩永智さん(63)が中心となって引き取った。子龍は長崎市立桜町小(野中正樹校長)が譲り受けた。
 諏訪神社に近い桜町小や、高田中では、それぞれ児童や生徒らによる龍踊の披露が伝統になっている。高田中の大串校長は「大切にしてきた金崎地区の方々の思いも一緒に引き取りたい。子どもたちが一生懸命に練習して龍踊を披露する姿を見たら、喜んでもらえると思う」と話している。

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