原爆の体験受け継ぐ「家族伝承者」が初の講話 語らなかった祖父の体験「生涯かけて伝えたい」 広島

被爆者の子どもや孫が、被爆者本人に代わって原爆の体験を語る「家族伝承者」の初めての講話が、広島市の原爆資料館で開かれました。

家族伝承者(1期生) 尾形健斗 さん(32)
「 “核兵器の悲惨さを伝えて平和な心を育ててほしい” 。これが、おじいちゃんの胸のうちです」

「家族伝承者」は、広島市が去年から新たに始めた制度で、1期生のうち早めに研修を終えた7人が、4月に家族伝承者として任命されていました。

7日は、この家族伝承者の初めての講話があり、第1回は7人の中で最も若い広島市の 尾形健斗 さん(32)が担当しました。

尾形さんは、16歳で入市被爆したという現在、94歳になる祖父の体験を受け継ぎました。

尾形健斗 さん
「橋の欄干にもたれかかるように亡くなった人。その死体は真っ黒焦げで服はなく、男性・女性かも分からず…」

祖父は、これまで家族にも被爆体験を詳しく語ってきませんでしたが、伝承者を目指す孫の尾形さんには「核兵器の悲惨さを伝えてほしい」と、自らが見た原爆の惨状を証言してくれたといいます。

講話を聞いた被爆者
「わたしも被爆者ですけど、こういうふうに若い人がどんどん伝えていってほしいです」

「ありがとう。がんばってね。(家族伝承者に)期待できます。まだおじいちゃんおばあちゃんで話したくないという被爆者はたくさんいます」

家族伝承者(1期生) 尾形健斗 さん
「短期間で終わることなく、ずっとずっと長く、生涯かけて伝承者としてやっていきたいので、その決意をおじいちゃんにも伝えたいと思います」

「家族伝承者」は、7日を皮切りに原爆資料館や学校などで講話活動を始めます。

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