茨城・取手の双葉地区 大雨予報で警戒、復旧作業急ぐ 住民不安「また浸水したら困る」 市が監視強化

取手市双葉地区などの大雨被害について協議した市災害対策本部=同市役所

台風2号や梅雨前線の影響による大雨で約600棟の浸水被害を受けた茨城県取手市双葉地区では7日、8日以降も東日本で非常に激しい雨が降る恐れがあるとの予報を受け、復旧作業を急いだ。住民からは「また浸水したら困る」と不安の声が漏れ、市災害対策本部は排水ポンプ場を再点検するなど浸水への監視を強化するなど警戒を強めている。

同市双葉地区では7日、住民が水に漬かった家財の運び出しや災害ごみの片付けに追われた。

自宅が床上浸水した男性(67)は、畳の処分を終え、掃除や家財の乾燥などに当たった。男性は「また大雨の予報。無事だった家財は2階へ移した。一番困るのはトイレ。今回を教訓に備えたい」と話した。

1人暮らしの女性(80)は「息子が来て水浸しになった家具や本などを運び出してくれた。使える物は乾かして少し片付いたのに、また大雨が降ったら困る」と表情を曇らせた。

8日から9日にかけ、東日本を含む広い範囲で非常に激しい雨が降る恐れがあるとして、気象庁は河川の増水や低い土地の浸水への警戒を呼びかけている。水戸気象台によると、取手市の8日夕からの24時間予想雨量は、50~100ミリを見込む。

市は7日、災害対策本部を開催。本部長の中村修市長や幹部職員らが復旧作業のほか、今後の大雨も想定した浸水防止策など対応を協議した。市消防本部は双葉地区のポンプ場の点検を改めて行い、新たに土のうを200袋準備した。

同地区は小貝川と牛久沼のほか、農業用水路に挟まれている。雨水は2カ所のポンプ場から水路に排出、さらに2カ所の排水機場から小貝川に出している。市は浸水時、ポンプは稼働していたが、排出先の水路と小貝川が増水していたため、内水氾濫が起きた可能性を示している。当面、水路や河川の監視を強化し、住民への早めの情報提供と早期の避難呼びかけを行うという。

市はポンプ場など抜本的なハード対策が必要と判断し、国と県への要望を検討する。中村市長は「市で補えないところは、県と国の力を借りるしかない。復興に向けて全力を尽くす」と話した。

■茨城県内床上浸水464件に 7日午後6時現在

茨城県防災・危機管理課によると、7日午後6時現在、県内の浸水は、床上浸水が取手市や茨城町など10市町で計464件。新たに鉾田市で5件、つくばみらい市で4件、土浦市で2件、それぞれ増加した。床下浸水は15市町村で計279件。

取手市は床上浸水が436件、床下浸水が165件で、4世帯11人が避難所生活を送っている。

道路冠水などの被害は23市町村で228カ所に上った。一般道は引き続き、県道下太田鉾田線の一部が通行止めとなっている。

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