手取川橋工事、自然守る工法で改修 北陸道で中日本高速

橋の下に重機を入れずに行われる北陸自動車道手取川橋のリニューアル工事=白山市内

  ●川に重機入れず、生物に配慮

 中日本高速道路は北陸自動車道で進める手取川橋のリニューアル工事で、川の中に重機を入れない工法を採用している。既存の橋の上で新たな橋を造る作業を進め、工事を完了させる計画だ。橋のある河口近くは絶滅危惧の鳥やクモが生息しており、河川の自然環境が悪化しないよう配慮した。

 5月に始まった工事は、550メートルにわたって橋の床部分にあたる「床版(しょうばん)」と、それを支える「橋桁」を取り換える。

 橋の工事では河原や河川敷に足場を組んだり、橋の下の川に重機を入れたりして行う場合も多いが、動植物の生息環境を壊す懸念がある。

 このため、今回はほぼ全ての作業を橋の上から実施する。橋の上に新たな橋桁を渡した上で撤去用のフレームを組み立て、古い床版と橋桁を分割しながら取り除いていくやり方で、撤去後に新たな橋桁を橋脚に載せて床版を設置する。

 手取川河口の一帯は、石川県の絶滅危惧Ⅰ類に指定される鳥コアジサシの営巣地となっている。春から夏に繁殖し、北國新聞社の環境総合調査でも昨年、近くの海岸にたまった浚渫(しゅんせつ)土砂の砂山で巣が確認された。

 ほかにも同Ⅱ類のクモ、イソコモリグモが生息しており、中日本高速道路の担当者は「環境を守りながら安全に工事を進めたい」と話した。

 上下線合わせて工事は2025年4月まで続く計画で、対面通行を維持して行われる。

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