茨城・取手の双葉 水害復旧へ恩返し 大子などからボランティア 「今度は私たちが」

浸水した住宅から出たごみを仮置き場に運ぶボランティアの人たち=取手市双葉

台風2号や梅雨前線の影響による大雨で約600世帯が浸水被害を受けた茨城県取手市双葉地区で7日、県内外から集まったボランティアが活動を始めた。市災害ボランティアセンターや県商工会青年部連合会、県建設業協会などを通じて集まった約140人が参加した。2019年の東日本台風(台風19号)で水害に遭い、支援を受けた同県大子町のボランティアも「恩返し」に駆け付け、水にぬれた家財を運び出すなど、片付け作業に汗を流した。

午前9時前、藤代庁舎に設置された同センターでは、多くの有志が列を作った。同県かすみがうら市の岡野洋司さん(77)は、15年の常総水害の際もボランティアに参加したといい、「早く普通の日常が戻るよう、困っている人がいるなら助けたい」と力を込めた。

県内市町村の商工会青年部からは82人が参加した。大子町商工会青年部長の高村和成さん(36)は「4年前は連日、多くの人に助けてもらった。被災地域がどこであっても、支援に行こうと思っていた」と話す。同町では19年10月の台風で久慈川が氾濫し、町中心部が浸水。多くのボランティアが駆け付けた。同部の吉成弘輝さん(43)は「(同町は)高齢者が多く、手が足りない時にマンパワーは復旧の助けになった」と振り返る。

この日、高村さんや吉成さんら6人は午前6時前に町を出発し、約2時間かけて取手市に駆け付けた。日差しが照りつける中、被災した住宅から水に浸かった畳や家具を協力して運び出した。

集まるボランティアに、被災住民からは感謝の声が上がる。泥水をかぶりにおいの付いたテントや日曜大工の道具などのごみを回収してもらった、菊地勉さん(55)は「片付けてもらえてほっとした。ようやく次に進める」と胸をなで下ろす。菊地さん方では電気が止まり、スマートフォンの充電ができずに困っていた。「被害状況の確認や知り合いと連絡するにはスマホは必須。次の大雨までにはモバイルバッテリーを防災品として用意したい」と話した。

内田敏行さん方では、壊れた冷蔵庫や汚れた書類などを、商工会青年部のボランティアが回収した。仕事を休んで片付け作業を助けに来た、息子の武志さん=茨城県ひたちなか市=は「片付けるのに手いっぱいで、家の前にまとめたごみを運べずにいた。見るたびに気がめいっていたので、片付けてもらえて本当に元気が出る」と笑顔を見せる。

商工会青年部のメンバーは8日も、被災した家庭のごみの回収を行う予定だ。

市環境対策課の担当者はごみの出し方について、「スプレー缶や乾電池が交ざれば火災の危険もある。原則分別してほしい」と注意を呼びかける。「水に漬かって可燃か不燃か判断がつかないものも受け入れている。迷ったら市に連絡を」と話している。

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