シャインマスカット「未開花症」本県でも 原因不明、品質低下や収量減の恐れ

実が肥大する前の正常なシャインマスカット。開花異常が発生すると実や房が変形する(県提供)

 ブドウの大粒高級種・シャインマスカットの花が正常に咲かず、実の成長に影響が出る「未開花症」が、本県を含め全国で確認されている。そのまま成長すると実や房が変形し、品質低下や収穫量の減少につながる恐れがある。原因は分かっていない。市場評価が高く、人気の大粒種のため、県や農林水産省は早期の対策確立を目指し、発生実態と原因の究明に取り組むとしている。

 農水省や農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)によると、未開花症は2017年ごろから確認されている。養分や生育環境による影響の可能性があるが、発生園地に共通点がないことから、現段階で原因はつかめていない。シャインマスカット以外のブドウでの発生は確認されていないという。

 4月に農水省が実施したアンケートでは、シャインマスカットを栽培する46都道府県のうち、30の地域で未開花症が見つかった。このうち、19の地域では品質や収量の低下がみられたという。農水省は、これらの都道府県名を明らかにしていない。

 農業関係者への取材によると、本県では村山地域の一部園地で確認されている。発生が局地的だったり、次の年には被害が収まったりしており、これまで収量に影響はなかったという。

 状態が軽微な場合は房の間引きや症状部分を除去することで従来通り育てることができる。ただ、発生が全国に広がっていることから、農研機構は本県のほか、山梨、長野、香川、福岡各県の研究機関とそれぞれ連携し、原因究明に取り組む。本県では、県園芸農業研究所が状況把握を行うとしている。県の担当者は「園地の状況を見ながら、適切な栽培管理に努めてほしい」と話している。

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