日常の困り事は「助け合い隊」が解決します! 隊員9人、草刈りや獣害防止柵の設置… 利用の高齢者「本当に助かる」

獣害対策の柵を設置する「長谷助け合い隊」のメンバー=佐用町奥長谷

 兵庫県佐用町長谷地区内の住民の困り事を解決する、同地区の住民でつくる有償ボランティアグループ「長谷助け合い隊」の活動が、高齢者らに好評だ。現在50~80代の9人が「隊員」として活動しており、住居周辺の草刈りや獣害対策用の柵の補修、電話機の設定など、日常のちょっとした作業を30分500円から請け負う。(真鍋 愛)

 「助け合い隊」は昨年8月に発足。2020年、長谷地域づくり協議会が地域の実態を把握しようと実施した調査で、独居や2人暮らしの高齢者から「相談相手がいない」「体力の問題で、家の草刈りや庭木の手入れができない」などの悩みが寄せられたのが結成のきっかけだった。

 事務局長の加藤政男さん(66)は「町のシルバー人材センターは忙しく、依頼にすぐ対応できない時があると職員に聞いた。『それなら住民同士で助け合おう』と、グループを立ち上げた」と振り返る。

 活動開始以降、助け合い隊には1カ月平均で3、4件の依頼が入り、繰り返し利用する人も徐々に増えつつある。作業代金の8割は隊員が受け取り、残り2割をグループの活動費に充てる。

 1人暮らしの中野綾子さん(81)=同町=は5月27日、畑のジャガイモがイノシシに荒らされた跡を見つけ、助け合い隊に相談。加藤さんら3人が当日中に駆け付け、中野さん宅にあったトタンや網を活用し、畑を取り囲む柵を立てた。

 イノシシは同日夜も畑に現れたが、近隣に住む隊員が車のライトで追い払った。それ以降被害は収まったといい、中野さんは「イノシシは気に入った食料を何度も食べに来るので、本当に助かった。利用は3回目だが、また力仕事をお願いしたい」と喜んだ。

 加藤さんは「困った時はお互いさま」とほほ笑み、「将来は誰しも手伝ってもらう立場になり得る。隊員を増やし、地域の助け合いの輪を広げたい」と話す。

 作業は電話で申し込む。電話日から5日以内に対応する。事務局TEL0790.83.2718

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