茨城・日立市 市営住宅、若者に開放 3階以上の空室、有効活用

日立市役所=同市助川町1丁目

人口減少対策の一環で茨城県日立市は7日、市営住宅の入居要件を緩和し、18~59歳の若年単身者も認めるよう条例を改正すると発表した。エレベーターがない住宅の低層階は高齢者に人気のため、上層階の空き部屋を若年層に開放し、住宅に困っている若者世代の支援につなげる。市によると、県内で同様の要件緩和は常陸太田市と城里町に次いで3例目。

市営住宅は原則、所得が低く、住まいに困っている人が対象で、家族などと2人以上で入居することが要件。単身者は、60歳以上や障害者などのみ入居が認められている。

一方で人口減少や高齢化の影響で、近年は空室も増加傾向にある。市によると、新規入居を受け付けている市営住宅3198戸の入居率は71.4%(5月時点)。1990年代半ば以前に建設された住宅はエレベーターがなく、高齢者の入居は1、2階に入居が集中。上層階の活用が課題となっていた。

要件緩和によって、エレベーターのない住宅の3階以上で1年以上空いている部屋は、18~59歳の若年単身者の入居を認める。対象の住宅は現在約500戸ある。14日開会の定例市議会に改正条例案を提出し、今夏から受け付けを始める。

小川春樹市長は同日の定例会見で「市営住宅の入居者も高齢化が進んでいる。若者世代に市内で働き、住んでもらう取り組みを強化していく」と述べた。

また市は本年度から、現在は入居者負担となっている市営住宅の浴槽や風呂釜の設置について、市が計画的に整備を進め、入居者の経済的負担を軽減する。築年数の古い住宅には浴槽などがなく、これまでは入居時に30万~35万円の自己負担が発生していた。市は本年度から年間50戸程度ずつ、10年間で約500戸に整備する方針。

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