多摩地域「PFAS」血液検査650人の半数以上が米国の基準超

有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」はかつて消火剤や塗料などに幅広く使われてきましたが、発がん性などの健康影響の恐れが指摘され、国内外で規制が進んでいます。この「PFAS」をめぐり、市民団体が6月8日会見を開き、多摩地域650人の血液を検査した結果、半数以上でアメリカの健康リスクの基準を超えていたと発表しました。

専門家や大学教授らで作る市民団体が会見を開き、多摩地域で行った650人の血液検査の結果を発表しました。血液中の「PFAS」の濃度について、335人がアメリカの健康リスクの基準の値を超え、特に国分寺市と立川市の住民から高い濃度が確認されたと報告しています。

原田浩二 准教授:「国分寺市と立川市だけの問題ではなく、他の周辺の地域においてもそういう割合が高かったということで、先ほど示した図で広がっているというのが今回650人の調査で分かった」

会見に出席した専門家は、「飲み水となった水道水が主な原因として考えられる」と分析しています。市民団体は今後、約100カ所の井戸水を検査するとともに、これまで血液検査をしていない狛江市や町田市などでも調査する方針です。

それでは今回の調査結果について詳しく見ていきます。

今回の調査は、多摩地域で「PFAS」と呼ばれる有機フッ素化合物の影響がどこまで広がっているかを調べるために行われました。この「PFAS」は、水や油をはじく性質があり、フライパンのコーティングや、泡消火剤、さらに半導体の製造などに使われてきたものです。永遠の科学物質と呼ばれ、化学的に安定している一方で、分解しにくいため、環境中に長期間、残留し、水や食べ物を通じて、人や動物の体内に蓄積されやすく、発がん性や出産時の体重に影響が生じる恐れが指摘されています。

なぜ多摩地域で調査が行われたかといいますと、井戸水を水源とする一部の浄水所でこの「PFAS」が検出されたためなんです。国分寺市の浄水所では、2018年に国の基準の2.3倍の「PFAS」が検出されています。

そこで市民団代がこのほど多摩地域の住民650人を対象に血液検査を行ったんですが、結果として632人の血液から「PFAS」が検出され、そのうち、335人がアメリカで定められている健康リスクの基準を超える「PFAS」が検出されということです。特に、国分寺市では、84人中79人。国立市では62人中40人。府中市では47人中28人。立川市では47人中35人と、割合が多かったということです。

調査した市民団体は、「継続的なモニタリングや、在日米軍横田基地、半導体工場など想定される主要な汚染源の特定と除去が必要」と指摘しています。

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