突き合わせ熱気復活 となみ夜高まつり

4年ぶりに16基が参加した大行燈の突き合わせ=10日午後8時40分、砺波市本町

  ●4年ぶり大行燈16基そろう

  ●伝統つなぐ願い載せ 市中心部

 大行燈16基が4年ぶりにそろい、砺波市が誇る「となみ夜高まつり」の熱気がよみがえった。10日、市中心部の本町通りで大行燈が激しくぶつかり合う「突き合わせ」が始まると、祭りは最高潮に達した。「コロナ禍に負けず、伝統の祭りを次世代につなぎたい」。そう願って祭りの準備に奔走した地元関係者は感無量の表情を浮かべ、揺れる大行燈に見入った。

 コロナ禍の影響が続いていた昨年は3基の大行燈が繰り出したが、今年はさらに13基が復活した。

 「三世代が交流し、大行燈を出すことができた」。そう感慨を込めたのは新栄町内会の堀田康弘会長(79)。2月に行燈の骨組みに使う竹の伐採から始め、町内の親子が協力し、行燈を仕上げたと胸を張った。今年は3年間製作していなかった影響で電線の傷みが目立ち、すべて取り替えた。

 新栄町夜高保存会の森裕晃会長(58)も「マンパワーの結集で仕上げた」と語り、20年以上夜高に関わる裁許(さいきょ)(責任者)を務める谷村衛さん(45)は「みんなで話し合い、思い出しながら製作した。これで来年につながる」と力を込めた。

 木舟町の裁許の北島嘉孝さん(51)は「町内みんなの協力で、4年ぶりに参加できた」と語った。今年は、ユネスコ無形文化遺産に登録された三重県四日市市富田地区の「鳥出神社の鯨船行事」の捕鯨船を行燈に取り入れた。北島さんは「富田地区の保存会役員からも激励を受けた。新デザインに挑戦してよかった」と笑顔を見せた。

 「町内は世帯数が少なく、何よりも大行燈を完成させ、来年に継承することを一番に考えた」。そう語ったのは春日町の裁許の五島延貢さん(38)。東町の裁許の大橋修佳さん(43)も「製作の打ち合わせを綿密にし、今まで通りの行燈に仕上げられた」と振り返った。

 午後8時40分に砺波市本町の県道交差点付近の2カ所で大行燈の「突き合わせ」が始まると沿道は観客の熱気で包まれた。夫と訪れたブラジル人のミランダ・佐川さん(28)=高岡市=は「リオのカーニバルのように華やかできれい」と見入った。

 砺波夜高振興会の堀田隆会長(74)は「4年ぶりに参加した13町はそれぞれ製作に苦労したが、芸術的な砺波の夜高が復活した。関係者に感謝したい」と述べた。

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