埼玉“最強豪雨”被害、8割超を占めた越谷…今週また台風で人々不安 豪雨時は越谷の1/4が浸水していた

1週間ぶりの開店に向けて準備する写真スタジオ=9日午前、越谷市東越谷

 2~3日にかけての台風2号接近に伴う記録的豪雨から1週間を迎えた。埼玉県全体被害の8割超を占める越谷市は浸水が計3129件(床上600件・床下2529件、9日現在)。市の調べでは15センチ以上の浸水域は約1510ヘクタールで、市面積(約6024ヘクタール)4分の1相当に及んだことが分かった。今週半ばには台風3号の接近も予想され、不安を抱く被災市民も多い。

■排水追い付かず

 市危機管理室によると、今回被害をもたらした要因は、豪雨で排水機能が追い付かず処理しきれない「内水氾濫」。被害は市北東部を流れる新方川流域の低地で目立った。

 近年の河川改修後、最も大きな水害は2015年「関東・東北豪雨」。市内で計2489件(床上473件・床下2016件)が浸水し、今回と同様に新方川近辺の千間台地区で被害が出た。市によると、この時の市内浸水域は約1223ヘクタール。浸水件数と浸水域を比べても、今回の台風2号は越谷市最大級の水害だったことが分かる。

■24時間で一気に

 関東・東北豪雨の翌年度から、市は新方川流域にポンプ12カ所を増設。近隣調節池の容量増にも取り組んだ。水が元々たまりやすい地形だが、今回も広範囲で被害を招いた。市によれば、考えられる理由は雨の降り方。この時の越谷市の24時間雨量は観測史上最大260.5ミリ(気象庁)。2日降り始めから3日昼の降り終わりまで1日半の総雨量は289ミリ(同)で、このうち9割に当たる260.5ミリが24時間で集中的に降った。排水処理も追い付かないほどの猛烈な雨が被害を拡大させた。

■相談窓口を開設

 罹災(りさい)証明書の発行手続きが5日から始まり、9日現在454件。被災者相談窓口も開設し、市民からは災害廃棄物の収集や浸水時の床下消毒方法などで問い合わせがある。

 田畑が冠水したり、水流で農作物が倒されるなど、市内農業への影響も懸念された。市農業振興課によると、一部の農作物で生育に支障が見えるものの、現時点で大半の農作物に大きな影響は確認されていない。同課は「さまざまな作物の今後の生育状況を注視していきたい」としている。

■苦い経験教訓に

 被災から1週間を迎え、市民もようやく日常を取り戻しつつある。東越谷にある写真スタジオは店内が20センチ以上浸水。事務所も泥で覆われ、1週間の閉業を余儀なくされた。今週から営業を再開予定だ。女性店員は「無事にお客さまを迎えられることが何より」と期待する一方、次の台風を心配し「再び浸水しないか不安もある。苦い経験を教訓に対策をしっかり行いたい」と話していた。

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