横浜発祥のサンマーメン。それは、サンマを大胆にトッピングした中華そば─。という、定番の誤解も今は昔。炒めた具材で彩り、とろみをつけた県民の味だ。ご当地の食文化の一つとして2022年に文化庁に認定され、県外でも正しく認知されるようになった。
全国区に押し上げたのは、02年にカップ麺を商品化した食品メーカーのヤマダイ(茨城県)だ。03年に同社ブランド「凄麺(すごめん)」に加わり、全25種類の「ご当地シリーズ」で栃木・佐野ラーメンや福島・喜多方ラーメンに次ぐ古参という。
当初は「横浜とろみもやしそば」として販売されていたが、10年に「サンマー麺」を名乗れるようになった。県中華料理業生活衛生同業組合(横浜市)の「サンマー麺の会」からお墨付きを得たからだ。
会によると、広東語由来で「生馬麺(サンマーメン)」とつづり、「生」は「しゃきしゃきした」、「馬」は「載せる」を指す。「野菜の彩りと食感を重視して再現した」と、同社の矢部達朗さん(44)は商品化当時を振り返る。調理したモヤシとニンジンを加え、5色の野菜で味も見た目も本場に近づけた。
ラベルに会「推奨」をうたって13年。会長の久保田角男さん(72)も川崎市の中華店で看板メニューとして提供しているが、「店顔負け」と太鼓判を押す。14回目の改良を加え、今月26日に新装して発売。オイスターソースの風味と具材のうまみをより引き出したスープに仕上がったという。
ちなみに、「生碼麺(サンマーメン)」とつづる店もちらほら。「碼」は埠頭(ふとう)を指し、「横浜の港湾労働者に愛された名残では」と久保田さん。腹持ちがよく、冷めにくいあんがかかった1杯を、赤ら顔ですする光景が浮かぶ。