チャットGPTをはじめとする生成AI、医療や製造現場で活躍の場を広げる精密なロボット。IT技術がめまぐるしいスピードで進歩する中、一方でこんな“ゆる~い”ロボットが福井県内の身近なところで役立っているのをご存じだろうか。見た目のかわいさからは想像できない最新のテクノロジーが詰まっていて、掃除や配膳、チラシ配りと愚痴もこぼさず黙々とミッションをこなす姿は、見ていていじらしくなる。人間の暮らしを支える“ゆるロボ”たちの仕事っぷりをのぞいてみた。
床のお掃除は「うさぴ」と「うさお」にお任せ/パリオシティ(福井市)
お掃除担当の「うさぴ」と「うさお」です。気持ちよく買い物してもらえるように床をピカピカにしておくよ! あ~忙しい! 昨年5月から福井市のパリオシティで働いているのが、お掃除ロボのうさぴとうさお。筐体(きょうたい)の下からごみを吸い取り、端はモップで拭き取る徹底ぶり。4階のエレベーターホールを含む、全フロアの床掃除を2台で担当している。
運営する東部商業開発事業協同組合では、人手不足の解消や、新型コロナ禍で要求が高まったより清潔な環境の維持を目指して導入を決めたという。午前6時半から午後10時まで、充電のための「休憩時間」を除き毎日フル稼働している。
名前は公募で決まったもので、表情や季節感のある飾りも施されている。専務理事の浅井尚之さん(64)は「驚くほどきれいにしてくれて助かっている。訪れた子どもが喜んでくれるのが何より」と広告塔の役目にも感謝していた。
スープをこぼさないように…「8番らーめん」にも“ホールスタッフ”/8番らーめん武生店
いらっしゃいませ! ラーメンができたらすぐ積み込んで、席までお届けしま~す。スープをこぼさないように、そーっとね。 県民おなじみの「8番らーめん」をフランチャイズ運営するアモーレながすぎ(鯖江市)は2月、従業員の負担軽減などを目的に武生、神明の両店に配膳ロボットを導入した。
黄色が鮮やかなボディーには2段のトレーを備え、ラーメンを一気に4杯まで運ぶことができる。テーブルの位置を覚えていて、従業員は顔のタッチパネルで配膳先を選択。センサーで人や椅子をよけながら進み、到着すると「ご注文の品をお届けしました」と丁寧に声かけ。再び定位置の厨房前に戻ってくる。
名前はまだない。今後、店舗近くの児童に名前をつけてもらう予定。営業部本部長の濱端翔太さん(38)は「店員が厨房と客席を往復する数が減り助かっている。店に欠かせない存在」と感謝しきりだった。
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子どもに人気ニャン♪お得な情報届けるニャン/ベル(福井市)
こんにちは、ベルにゃん号だよ! 今日もたくさんチラシを積んで、お客さんにお得な情報を届けるニャン! 受け取ってね! 福井市のベルは4月、チラシを配るデリバリーロボットを導入した。三角の耳が付いた液晶モニターが「顔」になっていて、目をパチパチさせるネコの表情が愛らしい。「チラシやクーポンを配布中だよ」などと音声を流しながら、イベント広場周辺を中心に走り回っている。
ベルのキャラクター「ベルにゃん」のPRを模索する中で、着ぐるみを作る案と比較。人の確保や時間に左右されない点から“採用”した。ロボットは既製品だが、ラッピングや音声はオリジナルという。
SC事業本部営業担当課長の小林弘之さん(51)は「子どもに大人気で、じゃれ合っている場面を見ることも多い。チラシを手にするお客さんも多いので助かっています」とベルにゃん号をねぎらっていた。