別府市と大阪観光局、インバウンド獲得へ協定 25年の大阪・関西万博見据え【大分県】

協定を交わした大阪観光局の溝畑宏理事長(左)と長野恭紘別府市長=別府市上田の湯町の市公会堂
「別府八湯温泉道名人会」の会員らと温泉に漬かる溝畑宏理事長(左から2人目)と長野恭紘市長=別府市鉄輪の「鬼石の湯」

 【別府】別府市と大阪観光局(大阪市)は10日、インバウンド(訪日客)などの獲得に向け、広域観光の仕組み作りを目指す協定を結んだ。両市の間などを旅行者が行き来するようPRし、長期滞在者の増加や国内での消費喚起につなげる内容。2025年に開かれる大阪・関西万博を見据えた取り組み。協定締結に伴い、温泉を生かした観光施策について話し合うシンポジウムを別府市公会堂(上田の湯町)で開いた。

 協定の内容は▽観光を通じた地域の魅力づくり▽新たな観光ルートの開発▽人・情報・データの相互交流▽外国人留学生の支援―など。

 締結式で同局の溝畑宏理事長は、移動手段が豊富な大阪府を「ハブ機能を持った都市」と表現。観光客を他県へ送り出す案を紹介した。

 長野恭紘(やすひろ)市長は2800万人の観光客が見込まれる万博を「使い尽くす」と宣言。観光客増による地場事業者の収入安定など「稼ぐ観光」への意欲を示した。

 同局と協定を結ぶ九州の自治体は別府市が初めて。同府と市を結ぶフェリーの航路があるほか、温泉施設が豊富であることなどの理由から選ばれた。

 シンポジウムには長野市長、溝畑理事長、道後温泉がある松山市の野志克仁(のし・かつひと)市長が出席。会場には市内外から約300人が出席した。

 溝畑理事長は、温泉が訪日客から根強い支持を獲得している状況を説明。地域の独自色を打ち出し、さらなる集客につなげるため「別府の人々が持つおもてなしの精神をもっと前面に打ち出すべきだ」と語った。

 長野市長は、市内を訪れる観光客の宿泊日数が平均1日にとどまっている点を課題として挙げた。長期滞在につなげる策として、医療・美容・健康の分野を活用した「新湯治・ウェルネスツーリズム」事業に力を入れる考えを示した。

 訪日客のタトゥーへの配慮に関する議論もあり、野志市長は道後温泉での取り組み例を紹介した。入浴着を導入したことで、訪日客、手術痕のある客に受け入れられていることなどを話した。

 長野市長、溝畑理事長、「別府八湯温泉道名人会」の会員ら5人と、市内鉄輪の「鬼石の湯」で温泉を楽しむイベントもあった。

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