大分県内、タクシー初乗り運賃50円引き上げ 7月12日から、料金加算距離も短く【大分県】

乗客を待つタクシー=12日、大分市のJR大分駅府内中央口

 九州運輸局は12日、県内のタクシー運賃改定を発表した。普通車の1キロまでの初乗り運賃は7月12日から、50円引き上げて上限550円にする。料金を加算する走行距離も短くなる。燃料価格の高騰や新型コロナウイルス禍の利用低迷を理由に、県内55社が値上げを要請していた。利用者からは「痛手だ」「仕方ない」といった声が聞かれた。

 県内の全てのタクシーが対象になる。普通車以外の2車種でも初乗り運賃を引き上げる。大型車は60円アップの上限580円、特定大型車(定数7人以上)も70円増の上限630円になる。

 運賃の加算は普通車で初乗り550円の場合、距離が現行より21メートル短い160メートルごと、信号などの待ち時間は10秒短い1分ごとになる。加算額はいずれも50円で変わらない。

 昨年9~12月にかけて、県内76社のうち55社が見直しを求めた。九州運輸局は審査の結果、「収支の改善に必要」として改定を決めた。1社平均で11.98%の増収になる見通し。

 同局は引き上げを認めるのに合わせ、賃金アップなど運転手の労働条件を改善するよう各社に求めた。業界の人手不足の解消が狙いで、旅客第二課は「どう反映されたか、自主的に実績を公表するよう指導していく」と話している。

 改定は初乗りの距離と運賃を引き下げた2020年2月以来になる。燃料高騰が続いているだけに、通院や買い物に使う大分市上戸次の無職原梅子さん(91)は「仕方ない。何もかも値上がりしている」と理解を示す。

 出費が増えると不満の声もある。飲み会の帰りなどで利用する大分市金池町の会社員遠藤太一さん(24)は「乗る回数は減らすかもしれない」と話した。

 県タクシー協会の山口巧(たくみ)会長(56)は「物価が高止まりする中で県民に申し訳ない。運転手の待遇改善に努める」と理解を求めた。

© 有限会社大分合同新聞社