【大雨被災者支援】被災地で弁護士が相談会 静岡・磐田市

6月2日の記録的大雨による堤防決壊で、浸水被害に見舞われた静岡・磐田市の被災地は、2022年の台風15号でも同様の被害を受けている。その被災者たちの生活再建を支援しようと、弁護士が奮闘している。

6月10日(土)、磐田市敷地川を訪れたのは、静岡県弁護士会の永野海弁護士。防災士の資格をもち、日弁連の災害復興支援委員会の副委員長を務める。

(永野 海 弁護士)

「大きな青の重機がある所は今回の後に土を入れた?」

「横幅30mぐらい、つくったということですね」

永野弁護士が磐田を訪ねたのは、決壊した堤防の近くにある公民館で説明会を開くため。被災者を対象に、生活再建に活用できる支援制度を説明する。

(永野 海 弁護士)

「雑損控除という言葉を知っている方いますか?医療費控除は年に何度も病院へ行き、10万円以上お金がかかったら確定申告すると納めた税金が戻る、それと同じ、同じ制度の災害版」

永野弁護士は集まった住民に対し、どんな支援制度があり、どうしたら活用できるのかなど、自ら作成した資料を使って説明した。また、家庭のケースごとに被災から再建までのロードマップを示した。

(被災した住民)

「去年は床上、今回は床下、家の周りに石を敷き詰めたばかり、工事が終わって10日しない間に、河川の泥水が入ったので全部またやり直し」

被災したほとんどの住民が、2022年9月の台風15号でも浸水被害を受けている。説明会の後には個別相談会も実施された。この男性は、2022年に続き床上浸水の被害に・・・

(去年に続き浸水被害 櫻田 力さん)

「今回は前回(工事を)やった所はそのままで、今度新しく駄目になった所を直そうかな」

(永野 海 弁護士)

「大事なアドバイスとしては、まずフルで直す見積書をとった方がいいです」「前回やった所は変えない前提の見積書だと、そこの被害はないと見られてしまう」

その後、永野弁護士は相談を受けた櫻田さんの家を訪ねた。家の中には浸水の跡が生々しく残っていた。

(永野 海 弁護士)

「これは違う?」

(櫻田 力さん)

「前回のやつがあるもんでね」

「今回がこれ」

(永野 海 弁護士)

「だからやっぱり30cmぐらい低い」

2022年の台風15号の時よりは低かったものの、今回も床上60cm以上、水に浸かった。

(永野 海 弁護士)

「乗ったときにぶよぶよしている・・スマホがあるなら、僕もいま動画で撮っていたが、動画でしゃべりながら撮ってほしい」「ぶよぶよだとかは写真では分からない、動画で触りながらしゃべったら伝わる」「後々いろいろな証拠になるので、それは覚えておいてください」

永野弁護士は櫻田さんに、り災証明の判定に疑問点があったら、すぐに連絡をくださいと伝え、家を後にした。

(去年に続き浸水被害 櫻田 力さん)

「知らないことを弁護士さんが教えてくれて参考になった、家にも来てくれてすごく助かりました」

今回の大雨では全国各地で被害が出ているが、永野弁護士によると、自治体の中では、磐田市が最も早くこのような説明会を開催したと言う。

また磐田市は2022年、23年ともに発災後、すぐに被災者に住まいを提供する市独自の支援制度を実施している。災害が起きた時、自治体は住民に寄り添った迅速な対応がとれるよう準備しておいてほしいと話す。

(永野 海 弁護士)

「行政の皆さんに勉強してもらいたい、自治体の皆さんが分かっていないと(住民に)伝えられない」「いま我々が補完するように説明会をしていますが、本来であれば全国の自治体がこういう説明会を独自にできないといけない」「足りない施策を磐田市のように補っていく、そういう動きをもっとしていくべき」

永野弁護士は14日、自治体職員など被災者支援の関係者を対象としたオンライン研修会を開く予定だ。

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