犬の『おんぶ』に伴う危険性3つ!安全性を確保するためにできる対策まで

1.落下による怪我や事故

犬をおんぶするリスクとしてまず挙げられるのが、落下による怪我や事故です。おんぶは抱っこに比べて犬の様子を見にくい上、人間の子どものように犬がしっかりと抱きついてくれるわけではないので、どうしても落下してしまいがちです。

低い位置でおんぶをしていたり、きちんと着地できたりすればそれほど危険はありませんが、落下したことで足を骨折してしまったり、背中から落ちて脊椎・脊髄を損傷したりすることは十分考えられます。

また、頭をぶつけたり、着地の姿勢が悪く内臓を損傷したりして、最悪の場合死亡してしまうこともあります。

2.腰や背中の関節を痛める

犬の体は基本的に横に長く、四つ足で全身を支える構造になっています。それに対しておんぶの体勢は、犬の体が縦になりやすいので、背中や腰に負担がかかりやすいと考えられています。

犬の体が立った状態だと、どうしても背骨や腰椎などに負荷がかかり、痛みが生じたりゆがんでしまったりするのです。特に体の大きな犬や体重の重い犬ではその傾向が強いので、できるだけおんぶはしない方がいいでしょう。

3.脱走してしまう

犬をおんぶしてしまうと、当然のことながらおんぶしている本人は、おんぶされている犬の様子をしっかりと見ることができません。そのため、犬が背中から降りようとしていたり、嫌がっていたりする様子に気がつけず、犬が突然飛び降りてしまうということもめずらしくありません。

さらにそのようなときに、思わず犬の体やリードを放してしまい、それによって犬が脱走してしまうこともあります。

そのまま迷子になってしまったり、交通事故にあったりと思わぬトラブルにつながることも。特に外で愛犬をおんぶするときは、脱走してしまうことを考えて事前に十分な注意を払わなければなりません。

犬の「おんぶ」で安全性を確保するためにできる対策

では、愛犬をおんぶする際に安全性を確保するためには、どのような対策をすれば良いのでしょうか。

抱っこする

犬が自力で歩けないときや人混みなど歩かせにくい場所に行くときは、おんぶではなく抱っこをして移動した方が安全です。

ただし、抱っこの場合も抱き方によっては、おんぶと同じように腰や脊椎を痛める危険性があります。

この場合、「縦抱き」はしないようにして、犬の体を横向きに抱きかかえるようにしましょう。

ちなみに、短時間であれば手で抱っこしていても問題ありませんが、時間が長くなる場合はスリングなどに入れるのがおすすめです。脱走のリスクも減りますし、犬も落ち着いて過ごせるでしょう。

ペットカートを利用する

長距離の移動をするときや抱っこがむずかしい中・大型犬とお出かけしたいときなどは、ペットカートを利用するのがおすすめです。犬の体のサイズに適したサイズのカートを用意すれば、犬はその中で座ったり伏せたりして落ち着いて移動できます。

また、ファスナーなどで開口部を閉められるものであれば、人混みなどで周囲に迷惑をかける心配も少なく、犬自身もストレスなく過ごせるでしょう。

キャリーに入れて背負う

犬をおんぶしなければならない状況というのは、あまりないと思います。しかし、登山やハイキング、自転車での移動など抱っこやカートで移動するのがむずかしいときに、おんぶが必要になることもあるかもしれません。

どうしてもおんぶをしなければならない場合は、そのままおんぶをするのではなく、人がリュックのように背負える形のキャリーを利用するといいでしょう。

なお、犬の体が縦になった状態で長い時間過ごさせるのはNGなので、できるだけ犬が底部分に四つ足を着けるボックス型のキャリーを選ぶことをおすすめします。

まとめ

犬をおんぶしなければいけないシーンというのは、実際にはあまり多くないかもしれません。

実際、犬が歩かなくなってしまったときにおんぶで移動したり、遊び感覚でおんぶをしたりすることはあると思いますが、犬の体の構造から考えると、おんぶをすることは怪我や事故のリスクが大きいのだということを覚えておきましょう。

犬と移動したいときは、スリングやキャリー、ドッグカートなどを利用して犬の体に負担をかけないように気をつけてあげてくださいね。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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