「あんなに速く走れるとは…」年代別100m 世界最速の川本静子さん(95) 新記録の理由は “畑仕事”?

広島・大崎上島町に住む女性が、初めて出場した陸上大会で世界新記録を打ち立てる快挙です。年代別の100メートル走で偉大な記録が誕生した理由は、“畑仕事“ かもしれません。

川本静子 さん(95)
「身体だけは元気。耳が遠いが…」

大崎上島町に住む 川本静子 さんは95歳。首にぶら下げているのは、3つの金メダルです。

尾道市で11日に開かれた「マスターズ陸上」です。家族に勧められて、初めて出場した川本さんは、一番左のレーンです。川本さんより若い走者に負けじと、ゴールまで一直線に駆け抜けました。

結果は、なんと100メートルで年代別の世界新記録です。また、60メートルと200メートルでも日本新記録も打ち立てました。

川本静子 さん
「あんなに速く走れると思わなかった。びっくり」

そんな川本さんの健康の秘訣とは…?

川本静子 さん
「これからは、スイカの季節。これは雄しべで…」

まず、自宅の畑です。玉ねぎやソラ豆など野菜は全て、この場所で育てていて、苗を植えてから収穫まで川本さんが1人で作業するそうです。日頃の農作業が足腰強化につながっていたのでしょうか。

これまでやってきたスポーツは、60代で始めたゲートボールだけだったと話しますが…

川本静子 さん
― 島でまわりの友人に負けたことはない?
「(足に)自信はある。人に抜かれたことはない。わたしに勝てる人はいなかった。『辰田さん(旧姓)には負ける』と友だちが言っていた」

大会に向けて特別なトレーニングはしてこなかったそうですが、長年、腹筋を動かしたり、身体をもみほぐしたりすることは欠かさなかったといいます。

20歳のときに夫・圭司さんと結婚した川本さんは、3人の子どもを出産し、5人の孫・13人のひ孫にも恵まれました。大会では、家族そろって応援に駆けつけました。

川本さんの孫 千枝さん
「子どもたちも応援していて、わたしも声を出して応援した。期待していたが、ここまで結果を出すとは思わなくて、びっくりした。『世界新記録』と言われたとき、えっ!みたいな。大笑いさせてもらった」

走っている姿を実際に見てみたいとお願いすると、快く受けてくれました。娘や孫よりも速いスピードで歩きます。そして…

走り出しました。きれいなフォームで、あっという間に駆け抜けました。

川本静子 さん
「まだ、へっちゃらよ」

95歳で挑戦し、数々の記録を作った川本さん体力の続く限り、これからも走り続けたいと話していました。

― 川本さんは、生まれてから一度も手術したことがないのが自慢なんだそうです。200mは途中で転倒してしまいました。ご家族によりますと、それがなかったら世界記録を狙えたのではということです。今後も大会の出場を目指していると話してくれました。

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