「とちぎの栃木です」 誇りと愛着、17市町の名字も存在

栃木誠さん

 とちぎの「栃木」さん-。15日の県民の日を前に、下野新聞社は県名と同じ名字の県民がどれくらいいるのか調べてみた。栃木さんは栃木市内に最も多く存在し、全25市町名のうち17市町と同じ名字も見つかった。「自己紹介は『栃木県の栃木』」「先祖代々、県と歩んだ感じ」。県名、市町名を名字にする県民からは、その名への誇りや愛着があふれていた。

自己紹介でアピール 栃木誠さん

 栃木市岩舟町静戸、農業栃木誠(とちぎまこと)さん(82)は県外の農業関係者に会う時、自己紹介は印象に残りやすいように「栃木県の栃木です」と強調してきた。「栃木県栃木市の栃木」。三つの栃木がそろったのは、2014年に岩舟町が栃木市と合併してからだ。

 農業の現場から本県の成長を見てきた。農家の父の背中を追って、中学卒業後に清原農学寮(宇都宮市、現県農業大学校)へ。20代の頃、まだ導入され始めたばかりのトラクター運転手として地元農協に就職したが「当時は効率が悪く、あまり活用されなかった」。その後は機械化で発展する農業を体感した。一方、人口減少と食料自給率の問題は気がかりという。20年以上毎年したためる随筆集でも警鐘を鳴らす。

 県は今年で誕生150年。「150年はゴールではなく、これからへのスタートライン」と、次代の担い手へエールを送った。

得あっても損はなし 栃木卓夫さん

「『栃木』の名字はありがたい」

 おもちゃ団地協同組合(壬生町おもちゃのまち1丁目)の専務理事栃木卓夫(とちぎたかお)さん(61)=栃木市大塚町=は自身の名字に感謝する。

 壬生町内の玩具会社のとりまとめや、県内外での情報発信などを担う。仕事柄、県外企業の担当者と話す機会も多く、「『栃木県の栃木さん』と、第一印象から覚えてもらいやすい。得はしても、損はない」。

 幼少期から自然と名字になじんできた。隣近所や幼なじみなど、同じ栃木さんに囲まれて育った。「(名前が)健(けん)だったら、学校で名前を呼ばれるときに『とちぎけん』になって面白かったですよね」と笑う。

 「先祖代々、栃木県とともに歩んできた感じがする。仏壇に手を合わせ、感謝したい」と柔和な表情を見せた。

名刺を手にする栃木卓夫さん

© 株式会社下野新聞社