子ども子育て対策 異次元の財源捻出策必要に

 岸田内閣の異次元のこども・子育て対策。直接、間接に相当手厚いものになったが「年間3兆円半ば」を要する財源について岸田総理は「全世代型社会保障を構築する観点から、歳出改革等の取組み徹底で、実質的に追加負担を生じさせないことを目指す方針は揺るぎない」と強調するが、大丈夫なのか。総理発表の政策実現には異次元の財源捻出策も必要になってくる。

 立憲民主党の蓮舫参院議員は「少子化対策の財源は中身も示さず、年末まで先送り。岸田総理の異次元の無責任と指摘せざるを得ません。財源あっての安定施策です」と恒久的制度として成り立つのか、財源捻出の在り方を示さないなかでの政策先行発表に警鐘を鳴らす。

 岸田総理は13日の記者会見で財源について「歳出改革等を通じて財源を確保するに当たり、歳出改革の内容は毎年の予算編成を通じて具体化していく」と具体策はまったく示さなかった。また28年度までに安定財源を確保するなどとし、その間の財源不足は「こども特例公債を活用する」と結局、国債で賄い、借金を次世代にまわすことになる。

 岸田総理が財源を示さずに記者会見で示した子ども子育て政策の概要、以下の通り。総理会見での発言から。まさに異次元の財源捻出策が必要になっている。

 児童手当は所得制限撤廃、高校生の年代まで支給期間を3年間延長、第3子以降は3万円に倍増。来年10月分から実施。3人子どものいる家庭では高校卒業までの児童手当総額は最大1100万円になる。

 高等教育について授業料減免対象を年収600万円までの多子世帯等に拡大。更なる支援拡充を加速化プランに前倒しして実施する。子育て期の家庭の経済的負担に配慮した貸与型奨学金の返済負担の緩和、授業料後払い制度の抜本拡充などに取組む。

 出産費用は今年度から42万円の出産育児一時金を50万円に引き上げた。第2ステップとして26年度から出産費用の保険適用などを進める。働く子育て世帯の収入増へ共働き世帯を支援するため「106万円の壁」を超しても手取り収入が逆転しないよう、必要な費用を補助するなどの支援強化パッケージを本年中に決定、実行に移す。

 週20時間未満のパートの方々に雇用保険の適用を拡大し、育児休業給付が受け取れるようにする。育児中の自営業やフリーランスに対する国民年金保険料免除措置を創設する。子育て世帯が優先的に入居できる住宅を今後10年間で計30万戸用意する。

 育休取得率目標を30年には85パーセントの男性が育休取得することを目標とし、育休が当たり前になるようにする。各企業の取組みは有価証券報告書などを通じて見える化を図る。中小企業には十分に配慮し、育休を取った職員に代わる応援手当など助成措置を大幅に拡充、育休取得に熱心な企業ほど多く支援が行くように傾斜をつけた仕組みにする。

 育児休業制度を抜本的に拡充する。育児期間中に完全に休業した場合だけでなく、時短勤務を選んだ場合にも給付をもらえるようにする。産後の一定期間に男女で育休を取得した場合の給付率を手取り10割相当に引き上げる。

 働いているかどうかを問わず、時間単位で柔軟に利用できる「こども誰でも通園制度」を創設する。来年度から制度化の取組みを始めたい。保育所について75年ぶりに保育士の配置基準を改善し、保育士さん1人が見る1歳児を6人から5人にするほか、保育士の処遇改善に取組む。(編集担当:森高龍二)

働いているかどうかを問わず、時間単位で柔軟に利用できる「こども誰でも通園制度」を創設する

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