ミヤマクワガタ飼育最長310日 金沢工大・島谷教授

島谷祐司さん

  ●低温環境で国内記録更新

  ●専門誌で紹介

 趣味でミヤマクワガタを飼っている金沢工大教授の島谷祐司さん(62)=野々市市扇が丘=が雄1匹を越冬させ、国内最長飼育日数となる310日の記録をつくった。これまで2度、200日を超える飼育日数を達成していた島谷さんは今回、一定温度で管理できる低温恒温機を使った「低温飼育」を試み、記録を伸ばした。成果は専門誌「月刊むし」で紹介される。

 県ふれあい昆虫館(白山市)によると、ミヤマクワガタは基本的にひと夏しか生きられないが、低温を保ち、交尾を避けるなど体力を温存させると長生きするという。

 子どもの頃からクワガタムシが好きな島谷さんは、ミヤマクワガタの飼育日数では2016年7月~17年3月の244日間、18年7月~19年4月の255日間の当時の国内最長記録を持ち、いずれも専門誌で紹介された。

 ミヤマクワガタの生息に適した温度は17~18度とされ、暑さや乾燥に弱い。1度目の記録は温度管理に注意して虫かごで飼育。2度目は乾燥を防ぐため、虫かごを使わずに密閉式の食品保存容器で飼い、記録を更新した。

 島谷さんが会長を務める大学の課外活動「むしの会」の学生がミヤマクワガタを冷蔵庫で飼ったところ、比較的長生きした。またオオクワガタ、ヒラタクワガタなど冬眠する種もおり、低温環境で飼うことにした。県内の雑木林で採取したミヤマクワガタを昨年8月1日から飼い始めた。

 冷蔵庫より温度が高い低温恒温機の中で、7度に温度を保ち、今年6月7日までの310日飼育することができた。県外の男性が持っていた国内記録265日を45日更新した。

 低温飼育は水分の蒸発が抑えられ、体表が乾燥しにくくなった上、あまり動き回らないことで足の欠損がなく、細菌の侵入を防いだと、島谷さんは分析し、「今後も低温飼育の研究を続けたい」と話した。

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