来店不要でネットだけで審査や手続きができる「ネット型住宅ローン」。このところ、筆者もご質問をいただくことが増えました。広告表示される金利は低く、一見魅力的ですがその反面、利用するにあたっては気をつけたい点もあります。
ネット型住宅ローンのメリットとデメリットについて、確認していきましょう。
ネット型住宅ローンのメリット
まずはネット型住宅ローンのメリットを3つ紹介します。
メリット1:金利が低い
ネット型住宅ローンのメリットと言えば、金利の低さが挙げられます。このところ、固定金利型の金利は上昇傾向にあるものの、ネット型住宅ローンには変動金利型であれば、年0.2%台というものもあります(2023年6月現在)。
ただし、変動金利型であれば、ネット型住宅ローンに限らず、最安ではないものの年0.3%台のものもあります。固定金利型では地方銀行や都市銀行など、ネット型ではない住宅ローンに軍配が上がります。
メリット2:その他のサービスが豊富
ネット型住宅ローンでは、契約者の方にさまざまな付帯サービスを提供しています。
契約後のATM手数料や振込手数料が無料になったり、お買い物で割引を受けられたり、生活に役立つサービスもありますし、団体信用生命保険(団信)の保障を金利上乗せなしで手厚くできるものもあります。金利上乗せにより上乗せできる団信の保障内容も多様です。
また、住宅ローンは返済途中で繰り上げ返済をすることもできますが、一般的には繰り上げ返済は1万円からできるとするものが多いのに対し、ネット型住宅ローンでは1円から可能とするものもあります。
メリット3:住宅ローンにまつわる諸費用
住宅ローンにまつわる費用はさまざまなものがありますが、ネット型住宅ローンでは、例えば以下のような費用面でのメリットもあります。
- 保証料が無料
- 変動から固定の金利変更手数料が無料
- 繰り上げ返済手数料無料
- 電子契約なら契約書印紙代不要
※実際の実施状況は商品ごとに異なります
ただし、保証料無料のものは「フラット35」など、その他にもあります。繰り上げ返済手数料が無料のものは、ネット型住宅ローンに限らず増えてきています。
ネット型住宅ローンのデメリット
一方、ネット型住宅ローンにはデメリットもあります。3つ紹介します。
デメリット1:取扱手数料がかかる
ネット型住宅ローンのメリットとして、保証料が無料であることを挙げました。ところが、その代わりに取扱手数料が必要になっています。
取扱手数料は、借入金額の2.2%とするところが多く、割高になるケースも少なくありません。保証料であれば支払後、繰り上げ返済をすれば一部戻ってきますが、取扱手数料はいわば掛け捨てです。また、保証料は審査の結果下げられるケースもありますが、取扱手数料は一律です。審査によっては取扱手数料に加えて、別途保証料がかかるケースもあります。
デメリット2:窓口がない
ネット型住宅ローンには、基本的に店舗がありません。オンラインで行える手続きも多いため、夜間や休日など時間を選ばずに自由に進められるメリットもありますが、必要な書類をそろえたり段取りを組んだりと、ご自身の手間は多くなります。
また、審査を行うには、必要な書類をそろえることが必要です。順調にいけば審査は1週間から10日程度で終わりますが、不備があれば審査開始までに時間がかかり、結果的に審査結果がわかるまで、時間がかかることとなります。
本審査で必要な書類は融資対象物件や借り方、働き方などによって異なります。なかには、なじみのない書類もありますし、入手先も複数あります。
加えて、住宅ローンの返済は一般的に長期に渉る分、返済途中で「万が一」が起こる可能性もあります。返済が苦しくなった時は、早めに金融機関に相談をすることが大切ですが、店舗がある方が相談しやすいと感じる方は多いでしょう。
デメリット3:利用しやすい方がある程度限定される
ネット型住宅ローンの審査はシステム化されているため、画一的になりがちです。
個別の事情は考慮されにくく、厳しい傾向にあると言えます。個人事業主の方などは、原則利用できないとするものもあります。物件の審査についても厳しい傾向にあり、築古の中古物件や市街化調整区域や都市計画区域外の物件など、担保評価を得にくい場合は利用できないケースもあります。
また、注文住宅の取得を検討される方の場合、一般的には土地の取得費や着工金、中間金など、前もってまとまった資金が必要になります。これらのお金を自己資金で用意できない場合、土地先行融資やつなぎ融資を利用しますが、取扱いがないところは多いです。
ゆとりをもって相談しながらすすめよう
有利に活用できる方もいらっしゃいますが、ネット型住宅ローンは自由である反面、選択や段取りをご自身でしなければいけない大変さもあります。住宅取得にはさまざま要因が絡まり合っており、契約は複雑です。住宅ローンを簡単に比較できるサイトも登場していますが、比較するにあたっては目先のコストや金利だけで測れない部分もあります。
検討される際はスケジュールにゆとりを持って、第三者の立場で住宅取得計画をサポートしてくれるアドバイザーをもつことをおすすめします。