女性農業委員20.2% 本県、6年連続トップ 22年度最高更新 日光が市町村別1位

 農林水産省は17日までに、2022年度の全国都道府県別農業委員に占める女性の割合を発表した。栃木県は農業委員376人のうち女性は20.2%(76人)で6年連続全国1位となった。前年度比0.4ポイント増と過去最高も更新した。県内市町農業委員会などによる女性農業者を後押しする講習会の開催や、委員を任命する首長らへの女性登用の要望活動など、地道な活動が奏功したとみられる。全国市町村別の女性の登用率でも日光市が45.5%で1位だった。同市で24、25の両日に開催される先進7カ国(G7)男女共同参画・女性活躍担当相会合を前に、農業分野で女性の活躍が広がっている。

 農業委員会の活動を支援する県農業会議によると、県内で農業委員に女性が登用されるようになったのは約20年前。女性の参加で新たな発想が生まれ、食農教育など農業委員の取り組みの幅も広がったことから、各市町の議会の推薦枠で登用が進んだという。

 03年に発足した「とちぎ女性農業委員の会」は、年2回の研修会などを通じて会員の連帯を強め、農村女性の地位向上に取り組む。さらに大田原市や栃木市などの農業委員会が、女性農業者を対象に農機具の取り扱い講習会を開くなど、活躍の場を広げる活動も積極展開している。

 各地域の地道な活動は徐々に実を結び、女性登用の動きがなかったという1996年度に0.8%だった女性委員の割合は、2012年度11.4%まで上昇し、長野県と並び初の全国1位となった。その後、同県や岩手県にトップの座を譲る年もあったが、17年度以降は首位を堅守している。

 22年度の県内市町別農業委員の女性の割合を見ると、日光市の次に高かったのは市貝町で33.3%。次いで栃木、上三川、塩谷の3市町が各28.6%だった。

 日光市農業委員会は委員11人のうち5人が女性。その1人で21年に県内初の女性会長となった福田絹江(ふくだきぬえ)氏(67)は、女性の農業者から「(農業経営について)相談しやすくなったとの声もあり、女性が活躍しやすい環境づくりにつながっている」と説明する。

 国は25年度までに、農業委員の女性割合を30%に引き上げる目標を掲げている。県農業会議は「これまで築き上げてきた活動の継続、発展を目指し、各委員会が男女関係なく活動しやすくなるようサポートしていく」としている。

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