市民ボランティアによる防犯パトロールに役立ててもらおうと、神戸市が人工知能(AI)を用いたルート作成アプリの導入を進めている。実際の犯罪発生データを基に適切なルートを導く機能があり、担当者は「より犯罪抑止効果の高いパトロールが可能になる」と期待を寄せる。(井沢泰斗)
アプリは、東京のシステム開発会社「シンギュラーパータベーションズ」が提供する「パトコミュ」。犯罪発生場所など重要地点と、目安になる距離を設定すると、AIが自動でパトロールのルートを作成してくれる。警察が公表する犯罪発生情報を基に犯罪予測マップを表示でき、通過地点の参考になる。
パトロール中に見つけた落書きや不法投棄は、撮影してメモとともに投稿するとメンバーに共有され、積極的な防犯活動につなげられるのも特徴だ。市は活動に携わるボランティア団体に活用してもらい、効果を検証して本格導入を目指す。
9日に開かれた説明会には、ランニングを通じた地域見守りに取り組むNPO法人日本ふれパト協会(中央区)や、生田防犯協会などが参加。日本ふれパト協会のメンバー7人が実際にアプリでルートを作成し、三宮-元町間を往復する約4.5キロを走った。
同協会の代表理事を務める中沼丈晃摂南大教授は「犯罪データに基づき作成したルートを走ることで、自分たちの活動の意義づけにもなる。積極的な活用を会員に呼びかけたい」と話した。