人口減

 住まいが長崎市南部なので「朝夕は混むでしょう」と聞かれることが多かった。三菱重工長崎造船所香焼工場などによる渋滞を指しているらしい。ただ、近年、渋滞は目に見えて緩んだ。造船事業などの衰退が背景だろう。減った車の数は地域の人口減と経済活動の停滞も意味している▲総務省が毎年発表している人口移動報告で、長崎市は転出超過の多さが2015年から8年連続で全国ワースト3位内に入り続けている。18、19年は1位だった▲転出超過の“固定化”には、何か見落としがあるのではないか。鈴木史朗市長は先日、この収まらない人口減を踏まえ、経済再生や少子化対策などに向けた政策推進体制の構想を示した▲高度な専門性を持った5人前後の外部人材を「政策顧問」として登用し、彼らと市役所メンバーで「政策実現会議」を構成。重点分野別にプロジェクトチームを組んで事業を推進するという▲これまでの政策がなぜ人口減の歯止めとならなかったのか。どうして転出超過が毎年こうも続くのか。実効性を持つ新たな政策として何があるのか。それをどう確実に進めればいいのか▲長崎市議会は20日開会する。この春の統一地方選で当選した鈴木市長にしても各市議にしても当選後初の定例会だ。再生への熱い論戦をお願いしたい。(屋)

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