「前向きな価格設定促す」 日銀長崎支店長、黒住氏が着任会見

新支店長に着任した黒住氏(左)と離任した鴛海氏=長崎市、日銀長崎支店

 日銀長崎支店長に5日付で就いた黒住卓司氏(49)が13日、長崎県長崎市炉粕町の同支店で着任会見を開いた。本店を軸足に経済の調査、研究に従事してきた経験を生かし「県内企業に前向きな価格設定を促す取り組みを提案していきたい」と抱負を語った。
 1998年入行。主にエコノミスト畑のキャリアを歩み、米国への留学経験もある。前任は企画局政策調査課長で、日銀の金融政策の企画や立案、過去の政策を検証する「多角的レビュー」の取りまとめなどを担った。支店勤務は初めてで「長崎経済の調査や分析を通じて日本経済の課題について考えていきたい」と述べた。
 「入行以来の問題意識として企業の前向きな価格設定を引き起こすには、何が必要かを考えてきた」とし、自身の知見や経験を踏まえた提言により、「やがて『長崎モデル』として全国で注目されるようにまでなれば」と意気込んだ。
 本県経済の強みとして豊富な観光資源を挙げ「インバウンド(訪日客)回復や円安を追い風に観光需要が高まっている。こうしたところから収益が上がり、企業の賃上げの体力も上がるといった好循環が持続するのが大切」と期待した。
 会見には長崎支店長を離任した鴛海健起氏(50)も同席。在任した1年9カ月の県内景気について「コロナ禍による足踏みから、ゆるやかな回復へと前進した」と総括した。また人手不足を背景に「県内企業の間でも『人を大事にする経済』にかじを切る雰囲気が生まれている」とし「人口減少社会に前向きかつ戦略的に対応するモデルを、全国に先駆けて構築する契機としてほしい」と話した。

© 株式会社長崎新聞社