●震度6弱から1年 2度の大地震から再起 丸和工業
珠洲市で昨年6月に発生した震度6弱の地震から1年を迎えた19日、地震で窯が損壊した丸和工業(同市)で、珠洲特産の珪藻土(けいそうど)製品の窯出し作業が行われた。昨年と今年5月の2度の地震で窯や工場建屋が受けたダメージは大きいが、従業員は焼き上がった七輪(しちりん)やコンロの出来栄えを確認し、特産品を作り続ける決意を新たにした。
丸和工業の珠洲市三崎町杉山にある杉山工場では19日、従業員4人が5月の地震で一部が壊れ、修復が完了した窯から、七輪とコンロ約200個を取り出した。修復後は14日に初めて火を入れており、仕上がりを点検した従業員は「問題なく焼き上がっている」と太鼓判を押した。
この日、窯出しされた製品はサンドペーパーで磨いたり、着色したりして出荷する。5月の地震後は製造が止まっていたため、出荷待ちの注文が多数寄せられているという。
昨年6月の地震では、珠洲市正院町平床の本社工場の窯が壊れた。当時、杉山工場の窯は長年使っておらず、れんがを積み増して補修し、昨年7月から珪藻土製品を生産した。
その後、本社工場の窯も修理して3月に製造を再開したが、今年5月の地震で両方の窯が壊れた。本社工場は建屋も屋根の一部が崩れ落ちるなど大きなダメージを受けたため、杉山工場の窯を優先して直し、6月上旬に工事が完了した。本社工場は生産再開のめどが立っていない。
玉置仁一社長(71)は「ようやく生産を再開できてほっとしている。出荷が追いついていない注文に応えられるよう一生懸命、七輪やコンロを作りたい」と話した。