かつての不倫相手が独身に…ふたたび燃え上がった2人の交際が即終了したワケ

以前は「既婚者」で不倫相手だった男性が自分と別れてから離婚しており、今度は正々堂々と表を歩ける恋人として関係を始めたけれど、やっぱりうまくいかなかったという流れを耳にすることがあります。

あの頃は「この人が独身なら」と何度も願っていたのに、いざそうなってからの交際がどうして破綻したのか。その理由はステータス以外のところにありました。

改めて知るお互いの姿にどんな問題があったのか、ある女性の実例をご紹介します。

独身同士の交際を邪魔したものとは?

「離婚したよ」と笑顔で話す過去の不倫相手

「二年ほど前、会社の取引先で知り合った男性と不倫関係にありました。

仕事のプロジェクトで関わったのがきっかけで、それが終わってからも個人的に連絡を取り合ううちに仲良くなり、不倫になるとわかっていても肉体関係を持ってしまったのは大きな過ちだったと反省しています。

別れたのは、好きなときに会えないし何より会社にバレるのが怖かったからで、取引がなくなって仕事で顔を合わせる機会が消えたこともあり、私のほうから切り出して終わらせました。

それから何事もなく過ごしていたのですが、異動で移った先の部署でまた彼のいる会社と関わりが生まれ、気は重たかったけれど『絶対に周りに悟られないようにしよう』と腹を括って打ち合わせに向かいました。

彼は私を見つけると笑顔で挨拶してくれて、拍子抜けしながら打ち合わせの後で話すと『実は、一年前に離婚して』と独身に戻ったことを打ち明けられて。

私と付き合っている頃から奥さんとは不仲で、と口にするのを当時は半信半疑で聞いていたのですが本当だったらしく、『あっちが実家に帰って別居になってから離婚をお願いされた』と言われました。

それでも疑っていたのですが、私と彼の過去を知らないほかの人からも彼がバツイチの独身だと聞かされ、離婚は本当なのだとわかりました。

『もしイヤじゃなかったら、これからは独身の友人として付き合ってほしい』と彼から言われ、ブロックしていたLINEのアカウントを解除、やり取りが再開しました」

「独身者同士」で改めて向き合って

「彼との不倫は私にとってはいわゆる黒歴史で、誰にも言えないしこれからの恋愛にも影響するかも、と悩んでいた時期もありましたが、その当人が独身者としてまた目の前に現れて、何ていうかものすごく新鮮な気持ちでしたね。

付き合っていた頃のことが蘇って、優しくて気遣いができるし会っているときは私を大切にしてくれた彼を思い出すと、『独身になった今なら正々堂々とお付き合いができる現実』を実感しました。

彼のほうも『久しぶりに会えてうれしい』『ずっと忘れられなかった』とメセージをくれて、すぐふたりで食事に行くようになり、親しくなるスピードは早かったと思います。

不倫であっても過去を共有する人って、会わなかった期間が長くても打ち解けるのが早いのですよね。

彼から離婚について改めて説明されて、私と付き合っていた頃は『家庭が苦しくてたまらなくて、息抜きがほしかった』『君と会う時間のために仕事をしていた』とあのときと同じ言葉を口にする彼に、当時とは違う高揚感を覚えましたね……。

あの頃は『どうせ嘘だろうな』『それでも奥さんを選ぶのでしょ』とひねくれる気持ちが強かったけれど、独身に戻った今それを言われたら、本当だと思えて。

気がつけば不倫していたときと同じように彼を好きになっていて、彼も同じ気持ちで再会してから一ヶ月後に告白され、付き合うことになりました。

最初は『こんなことが自分に起こるなんて』と彼の腕に抱かれることに幸せでいっぱいでしたが、彼との交際は3ヶ月で終わってしまいました」

彼の人間関係が目について…

「彼は離婚後にひとり暮らしをしており、もう人目を気にせず遊びに行けるしお泊りも自由だし、あの頃『この人が独身だったら』と想像していたことが叶う交際に浮かれていたと思います。

彼のほうも『また君と会えて本当にうれしい』と何度も言ってくれて、平日も週末も毎日彼の部屋に私が通い、何時間もベッドで過ごす日もありましたね。

不倫の過去があるからこそ今の現実が本当に幸せで、もちろんいきなり結婚とかは考えなかったですが、このままずっと一緒にいられたらと思っていました。

でも、想像と違っていたのは彼の人間関係です。

『離婚してから自由に友達を作れるようになった』と楽しそうに話していて、不倫していた頃には耳にしなかった男友達との付き合いや女性の友人の話が彼から飛び出すたび、心がちくっと痛む自分がいました。

『君のことが好きだ。大事にしたい』とまっすぐ言ってくれる彼がいて、だから彼がよく行く居酒屋で知り合い仲良くなった女性とか、会社の同僚の女性とかの話が出ても落ち着いて聞けるのですが、どこかで『本当に私のことが好きならほかの女性と仲良くはしないのでは』と考えてしまって。

なかでも私と不倫していた頃から頼りにしていたと話す同僚の女性については、『今は堂々と紹介できるから、いつか会ってもらいたい』と言われたときに『イヤだな』と思ってしまいました。

つらい結婚生活から解放されて、好きなように人間関係を作れることを楽しむ彼の気持ちはわかるけれど、一方で彼の周囲にいる女性がどうしても気になってしまうのです。

彼が会社の飲み会に出かけた週末、一次会が終わったと連絡をもらって駅まで迎えに行ったら、知らない女性と仲睦まじそうに話す彼を見て、胸がズキンとしました。

『あれ、誰?』と助手席に乗り込んだ彼に思わずきつい口調で言ってしまい、驚いたように『あれが前から話している同僚だけど……どうかしたの?』と返す彼に『距離が近くない? 前からあんな感じなの?』と不機嫌を隠せずにいました。

『前も君はそういうところがあったけれど、僕を信じられないの?』と彼がため息をついて、『彼女と会社の人はまったく違う存在だし、付き合い方に文句を言われたくない』ときっぱり言われたのはショックでしたね……。

嫌な空気のままその日は泊まる話も出ず、私はひとりで自分の部屋に帰りました。

彼の言葉で『あの頃と同じ自分になっている』と気がついたとき、心臓が嫌な音を立てるのがわかりました」

離れていく彼の心

「彼と不倫関係にあった頃、私は『好きだって言うけど、最後に選ぶのは奥さんじゃないの』『どうせ私だけにはなってくれないのでしょ』と嫌味をぶつけることがありました。

決まって彼と仲良く過ごしたときの帰り際、『どうしてそういうことを言うの』『せっかく幸せな気持ちだったのに、台無しだ』とため息をつく彼は、車の助手席で『僕を信じられないの?』と言った彼の姿とまったく同じでした。

独占欲が強いのは自分でも自覚があるのですが、不倫だった頃は『この人のせいで私は苦しいのだ』と言い訳ができたせいもあって、不満を平気でぶつけられました。

その私でも彼はずっと会っていたし、機嫌を取ってくれていたから、甘えていたのだと今は思います。

同僚の女性と仲がいいことに不機嫌になる私を見て、今度はきっぱりと『文句を言われたくない』と口にする彼は、独身者同士の交際になったからこそ受け入れないことを伝えて私に変わってほしかったのだと思います。

別れた今は彼の気持ちがわかるのですが、そのときは『私の気持ちはどうでもいいのだ』『昔からこういうところがあると知っているのだから、好きなら謝るのでは?』とどこまでも自己中心的な思いでいっぱいでしたね……。

『あの頃と同じ』、彼の気持ちより自分の感情を優先させることにチリチリと罪悪感を覚えるのですが、どうしてもその私を拒絶する彼を責める気持ちが消えませんでした。

それ以来、彼は自分の人間関係について話さなくなり、私と会わない夜の予定なども伝えてくれなくなって、距離ができていきました。

彼の気持ちが離れてしまうと焦った私は合鍵を使って彼の部屋に入り、掃除や洗濯をして彼の帰りを待つこともありましたが、ドアを開けて私の姿を確認した彼は『いきなり来られても困る』と最初に言って、感謝の言葉もあったけれど寂しくてたまらなかったです。

自分のせいなのだとわかっていても、どこかで昔のように甘やかしてもらうのを望んでいたのだと思います」

ふたたび終わりを迎えた関係

「彼はLINEの返信も遅くなり、週末に会いたいと言っても断られることが増え、別れる半月前に合鍵を返すよう求められました。

もうダメだろうなと直感でわかり、『新しい女性でもできた?』とまた嫌味を言ってしまい、そんな私を無視して去っていく彼に、恨みも憎しみもありました。

待ち合わせはコンビニの駐車場でもうお茶することもなくなり、別れたくないけれどそのためには変わった自分を見せないといけない、どうすればいいかわからない、とパニックだったと思います。

連絡できずにいたら、彼のほうから『もう好きじゃなくなった。今までありがとう』と最後のメッセージが届き、それ以降LINEも電話もブロックされています。

せっかく独身に戻った彼と付き合えたのにどうしてこうなったのか、自分のせいだとわかってはいるけれど苦しくて、今度こそ仕事で彼と顔を合わせるのが憂鬱でたまりません」(33歳/営業)

「過去の不倫」は関係ない

こちらの女性は、不倫関係だった過去にこだわっていました。

その頃自分が自己中心的な気持ちで嫌味をぶつけていたのは「既婚の彼のせい」、彼が独身になった今も独占欲を隠せないのは「その私を知っていてほかの女性と仲良くする彼のせい」、これではいつまで経っても幸せな関係は築けません。

自分の関わり方について「問題があるのはわかっています」と口にすることはできますが、具体的にどう改善していけばいいのか、の言葉は出ません。

過去の自分を彼が嫌悪していると気がついていながらも変わることができず、自分に非があると実感はしながらどこかで受け入れてくれない相手を責めている状態です。

自分の在り方を相手のせいにするのは依存であって、彼のほうに変化を求めていることになります。

「受け入れられない自分」だけを見てしまえば恨み言が募るばかりで、それがわかるから彼のほうは距離を置くしかないともいえます。

女性の状態について過去の不倫は関係なく、考えるべきなのは「自分が」安心することを彼に求める弱さではないでしょうか。

相手から「線を引かれる」ことの意味

女性は、「独身者同士のお付き合いになったからこそ、受け入れないことを伝えて私に変わってほしかったのだと思います」ときっぱりと口にしていました。

彼の気持ちをきちんと客観視できる力があり、甘やかすのではなく自立した心で自分と付き合ってほしかったのだということも理解しています。

それでも、そうやって「線を引かれる自分」への苦しみが、変わることを邪魔していたのかもしれません。

彼に近い女性に嫉妬すること、その自分を知っても「彼は謝らない」「こちらの気持ちを無視する」と口にする姿には、「好きならこちらに合わせるのが愛情なのだ」と思っているのを感じました。

これが弱さの正体であり、独身として対等に付き合えるようになったとしても彼の愛情が続かない理由です。

線を引くのは拒絶ではないとわかっていても、どうしても「合わせてほしい・寄り添ってほしい」の甘えが消えず、安心させる役目を彼に負わせ続ければ、対等を求める彼のほうは別れを考えるのは自然な流れです。

家に押しかけて尽くす自分を見せるのではなく、彼の気持ちと正面から向き合って話し合う勇気が、彼女には必要でした。

変わるのは自分のため

それでも、女性は彼が去っていったことに「あの自分では無理だったとわかります」と繰り返していました。

それこそ不倫関係だった頃から嫌味を言ったり不機嫌さを隠さなかったりする自分は拒否されていて、独身者同士の交際となってからもそれが続けば、関係が対等である以上は彼のほうが別れを選ぶのは当然だったことも、理解しています。

変われなかったのは自分の弱さ、その痛みをちゃんと受け入れることで、これからの振る舞いを良いものにできると筆者は考えます。

依存関係では、「変わる」のはあくまでも相手のためであり「その結果自分が愛されること」の要求がセットになります。

そうではなく、愛する人とより居心地よく関わるために変わるのであり、変化の理由を自分に置くことが肝心です。

変わるのは自分のため、その自分が人からも愛されるのだと、改めて考えたいですね。

過去があるからこそ現在の交際でそれを引きずるのは、不倫に関係なくあることです。

受け入れてくれない相手を責めていれば幸せな交際は叶いません。まずは自分が変わっていこうとする姿勢が、同じ目線で愛情を育てるためには重要。

愛する人だからこそ、依存ではなく自立した心で向き合いたいですね。

(mimot.(ミモット)/ 李丘)

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