【中国】618商戦、値引き競争過熱も消費慎重[商業]

中国で恒例のインターネット通販の年央セール「618」が18日に最終日を迎えた。消費の回復が遅れる中、電子商取引(EC)サイト各社や実店舗が大幅な値引きを打ち出し、競争が激化。ただ消費者の慎重姿勢が続いたほか、販促イベント時にも理性的に購入するという消費傾向の変化もあって、以前のような大きな盛り上がりは見られなかった。具体的な取引額を公表しない流れも広がった。

経済参考報(電子版)などによると、家電量販大手の蘇寧易購集団ではセール期間中の全国の店舗への来店客数が前年同期から3倍以上に増えた。

中国EC最大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)系のECサイト「淘宝(タオバオ)」と「天猫(Tモール)」では18日午前0時時点で305ブランドの取引額が1億元(約20億円)を超えた。中小業者の取引額が前年のセール期間を上回ったのは256万店。

スマートフォン世界大手の小米科技(シャオミ)は19日、618の各チャンネルを通じた販売額が194億元になったと発表した。ECサイト「京東(JDドット・コム)」と天猫ではアンドロイドスマホ部門で販売台数、売上高ともに首位になったという。

第一財経日報(電子版)によると、今年の618では大部分の化粧品ブランドが大幅な値下げを実施し、双十一(11月11日の「独身の日」まで行われるネット通販の販促イベント)に匹敵する割引を実施したブランドも多かった。

一方、ECサイトが取引額の実績を公表しない流れは昨年の「双十一」から継続した。京東集団は18日に創立20周年の記念イベントを行ったが、618の取引額には触れなかった。取引額を公開しないのは同社初とされる。

消費者も618での消費に慎重姿勢を示した。第一財経日報が18日公表した618の消費者調査(有効回答数約400件)によると、「今年の618は去年に比べて消費が減った」と答えた人が75.3%に上った。新型コロナウイルス禍を受け、前年にECで購入する機会が多かったことも今年の消費減につながった背景の一つと指摘する声もある。

618の消費意欲に関する設問では、35.6%が「理性的に消費し、必需品しか買わない」と答えた。

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