五島・奈留島沖にペット散骨 「飼い主が前を向くきっかけになれば」 人工の霧で虹を演出

愛猫の遺骨を海にまくEPOさん(中央)=五島市奈留島沖

 長崎県五島市奈留島でペットの遺骨を真珠で覆う「真珠葬」を手がけるウービィー(東京、増田智江社長)は、ペットのための海洋散骨事業「虹の散骨」を今月から新たに始めた。
 散骨は、飼い主が島を訪れて自ら行うプランや、同社が代行するプランなどがある。島の南北二つの漁港のいずれかから漁船をチャーターし、それぞれ3~4キロほどの沖合で執り行う。
 同社は、愛猫や愛犬を失った喪失感「ペットロス」を抱える飼い主を癒やそうと2019年から真珠葬をしている。散骨事業は、真珠葬利用客からの要望を受け、地元の奈留町漁協などと協議を進めてきた。
 愛猫の「もんもちゃん」と「ふいちゃん」の真珠葬を相次いで行っている歌手のEPOさん夫妻。7日は、粉状になった2匹の遺骨を島から北へ約4キロ離れた海で船上からまいた。バラなどの花びらや感謝や別れの思いをつづった水溶性のメッセージカードも海面にそっと置くように手から放した。ウービィーのスタッフは人工の霧で虹を演出。EPOさんは涙を拭いながら見送った。
 EPOさんは「散骨によって本当の意味で自由になったと思うのでうれしい。奈留島の美しい海で良い体験になった」と話した。増田社長は「飼い主が前を向くきっかけになれば」とした。同社は、海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する「海業」の観点からも散骨事業を推進。同漁協の大久保金政組合長は「できる限りサポートしていきたい」と述べた。問い合わせはウービィー(電03.3358.1861)。

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