京都・井手の19歳女性殺害事件 検察側「偽装工作を重ね悪質」と懲役18年求刑

京都地裁

 京都府井手町で2016年に交際相手だった女性を殺害したとして、殺人罪に問われた無職末海征河(すえうみせいが)被告(26)の裁判員裁判の論告求刑公判が20日、京都地裁(増田啓祐裁判長)であった。検察側は「罪を免れるため偽装工作を重ねるなど犯行後の行動は悪質」として懲役18年を求刑。弁護側は改めて無罪を訴え、結審した。判決は7月5日。

 事件を巡っては、専門学校生の女性=当時(19)=が16年10月以降、行方不明になった。京都府警が22年2月、末海被告を任意で事情聴取したところ、殺害を自白したとされる。奈良市の若草山に遺体を捨てたとの供述に基づき、山中で行った捜索で遺骨の一部が見つかった。

 公判では、遺体を遺棄したことに争いはなく、女性が被告によって殺害されたのかどうかが主な争点となった。死体遺棄罪は公訴時効(3年)が成立している。

 検察側は論告で、末海被告は妊娠が発覚した女性との関係に窮しており、「うそをつくなど自らの行動を詰問され、激情的に犯行に至った。動機にくむべき事情はない」と指摘。殺害後は木村さんを探すふりを続けた上、自白で案内した場所から遺骨が発見されていることなどから、「被告が殺害したと考える以外ない」と非難した。

 弁護側は、目を離している間に女性が充電コードで自殺していたとし、自殺の事実を隠すために遺体を捨てて偽装工作したと主張。殺害する動機はなく、「被告が殺害したということを立証できていない」と反論した。

 起訴状によると、16年10月22日午前1時半~同2時18分ごろ、井手町内に止めた車の中で、助手席にいた女性の首を両手で絞めて、窒息死させたとしている。

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