信号機、LED化に黄信号 県内1万4810基、白熱式のまま

白熱電球式の信号機=富山市堀川小泉町

  ●28年で製造終了、更新急ぐ

 信号機用白熱電球の2028年3月での製造終了を見据え、富山県警が発光ダイオード(LED)への切り替えを急いでいる。県内では全体の55.9%にあたる1万4810基が未交換となっており、従来のペースで全て交換するには20年以上を要する計算になる。県警は今後、交換ペースを早める予定だが、5年後の製造終了までに間に合わない見通しで、白熱電球の買いだめなどの対応を検討している。

 照明器具メーカーでつくる「日本照明工業会」(東京)によると、一般的な信号機用白熱電球は長さ13.6センチ、直径7.0センチで、家庭用より一回り大きい。現在、国内で唯一製造しているパナソニックは昨秋、需要減を理由として28年3月での製造終了を決めた。

 白熱電球を巡っては、経済産業省が08年に省エネ推進のため、メーカー各社に製造を控えるよう要請したことで需要が減少した。信号機用は一斉に交換できないため、全国の都道府県警が1990年代から交換を進めていた。

 富山県警は2003年に信号機のLED化に着手。今年3月末時点で県内の信号機は計2万6471基あり、LED化したのは44.1%の1万1661基。その内訳は車用が全体の49.9%の7747基、歩行者用が35.7%の3914基。年平均で583基を交換しており、このペースで全て交換を終えるには約25年を要する計算になる。

 警察庁が公表している統計では22年3月末時点で、車用の信号機は全国で126万2261基あり、LED化したのは68.9%の86万9813基。歩行者用は102万8778基のうち63.9%の65万6885基で交換が済んだ。富山のLED化率は車用49.1%、歩行者用34.1%で全国平均を大きく下回る。

 LED化には信号機本体の交換が必要で、費用と手間を要することが切り替えの進まない理由。白熱電球が手に入らなくなれば、信号機を稼働できなくなる事態も想定される。

 県警交通規制課の担当者はLED化の完了時期の見通しが立っていないとし「5年後の製造終了に備えて電球を確保し、できるだけ早くLEDに切り替える。混乱が起きないように対応する」と強調した。

 白熱電球の製造終了を見据え、全国でLED式信号機の発注が急増する懸念もある。富山県警と取引がある信号機製造メーカー「京三製作所」(横浜市)は現時点で需要が安定しているとした上で「白熱電球の製造終了時期が近づけば需要は高まるだろう」と話した。

LEDに交換された信号機=富山市神通町3丁目

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