「議論広まって」 選択的夫婦別姓、議論活性化へ 栃木市議会常任委で陳情採択

栃木市役所

 希望する夫婦が婚姻時に同姓か別姓かを選べる「選択的夫婦別姓制度」について、栃木県の栃木市議会民生常任委員会は20日、議論の活性化を求める市民団体の陳情を全会一致で採択した。委員会の審査結果は28日の本会議で報告され、意見書案として採決される。同じ団体による同趣旨の意見書などは全国の自治体で相次いで可決されているという。24、25日には日光市内で先進7カ国(G7)男女共同参画・女性活躍担当相会合が開かれる。市民団体の代表女性は「本県全体で議論が広まってほしい」と願う。

 同市議会に陳情したのは、同市出身で「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション栃木」代表の吉澤和子(よしざわかずこ)さん。5月に提出し、6月8日には委員会で意見陳述した。選択的夫婦別姓制度の議論活性化の意見書を国会に提出するよう求める。

 20日の委員会では市議から「切実な問題だと受け止めた」「伝統的な家族の価値観などを加味し国会で議論すべきだ」などの意見が出た。採択後、中島克訓(なかじまかつのり)議長は「賛否両論がある中、議論の活性化を促すことは必要だ」と話した。

 採択を知った吉澤さんは「目を向けてもらえうれしい」と喜んだ。

 吉澤さんは自然科学を研究する大学院生で、国内外で活動する。2019年に結婚して夫の姓となった。結婚前を含め“自分”の研究と認めてもらうため旧姓を使用している。転機は22年の米国留学。法律上の姓と仕事で使用している旧姓が異なることで不審がられ、説明を求められた。

 日本の制度に強い疑問を感じた吉澤さんは2月に帰国してすぐに同団体に加わり、出身地の同市議会への陳情に向けて動いた。「法律上の姓が変わることはキャリア構築や海外での活動を阻害する。日本の子どもたちに同じ思いをしてもらいたくない」と訴える。

 吉澤さんは県南の市町議会への陳情を視野に働きかけを続ける。別のメンバーは宇都宮市議会への陳情に向けて活動している。

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