●10市町で確認「個人情報漏れ心配」
石川県内でマイナンバーカードを自主返納する事例が、計10市町で少なくとも40件以上あったことが21日、北國新聞社の調査で分かった。別人に対する交付や障害者手帳情報のひも付けミスなどが相次ぐ中、「個人情報の漏えいが心配」「トラブルばかりで信用できない」などの理由が目立った。5月末時点の申請率はほとんどの市町で8~9割に達しているものの、混乱が続けば返納がさらに増える可能性もある。
金沢市では今年度に入り、4月1件、5月3件、6月(19日時点)15件の返納があった。計19件のうち多くは中高年層で、50、60代が各5件で最も多く、40代が3件で続いた。市によると、「マイナンバーのトラブルに関する報道を見て不安になった」との理由が多かった。
能美市では「交付を受けたが使わない」として、6月に入り10~40代の5人が返納。野々市、七尾、輪島市ではこれまでに各3件、白山、小松市では各2件、かほく市と穴水町では各1件の返却があった。
これに加え、羽咋市が「昨年度に数件の返納の要望があった」(担当者)としており、合計では40件超になるとみられる。輪島市では「制度が整って安定すれば、あらためて申請する」と話す市民もいたという。
●ポイントそのまま
国や各市町によると、マイナンバーカードを返しても、いったん付与されたマイナポイントはそのまま利用できる。再取得する場合は、市役所や町役場に申請書類を提出する必要があり、カード発行手数料、証明書の発行料として千円がかかる。既に健康保険証とひも付けされたカードを返却しても、現時点では既存の保険証を使用できる。
●小松、能美でトラブル発生
小松、能美の両市では実際にカード関連のトラブルがあった。
小松市役所では昨年9月、前の利用者のシステム使用後にログアウトせず、次の利用者の作業が行われたため、前の利用者に付与されるはずのマイナポイントが後の利用者に入った。
能美では4月中旬、70代男性から「カードを申請したのにマイナポイントが付与されない」との相談が寄せられ、総務省に確認したところ、ポイントを受け取るための情報が誤って入力されていた。
■県内市町別マイナンバーカード返納数と申請率
市町名 返納件数 申請率
金沢 19件 86.2%
白山 2件 88.1%
小松 2件 85.5%
加賀 なし 96.2%
野々市 3件 88.1%
七尾 3件 86.5%
能美 5件 89.2%
かほく 1件 88.6%
輪島 3件 86.3%
羽咋 数件 85.0%
珠洲 なし 90.1%
津幡 なし 87.3%
内灘 なし 89.6%
志賀 なし 89.1%
中能登 なし 87.7%
能登 なし 89.6%
宝達志水 なし 78.4%
穴水 1件 85.2%
川北 なし 87.2%
※申請率は5月末時点