5分で「消火と人命救助」 男性の対応、消防署長が「最善の初動」と敬意 神戸

感謝状を受ける花田宏司さん=東灘消防署

 5月末に神戸市東灘区住吉本町2の集合住宅で起きた火災にいち早く気づき、初期消火に成功したとして、東灘消防署は、近くに住む花田宏司さん(68)に署長感謝状を贈った。

 同署によると、火災は5月31日午前8時半ごろに発生。花田さんは近くを通りかかり、1階の窓から煙が出ているのを見つけた。

 すぐに周囲に大声で火事を知らせ、煙が満ちた室内に入った。高さ1メートルほどの火柱が見えたため、近くにあった消火器で消し、室内にいた高齢男性を避難させた。現場に戻ると、別の火柱も上がっていたため、住民と連携して別の消火器を用意し、再び消し止めた。その間、約5分の出来事だった。

 会社員時代は職場の防災訓練に熱心で、現在は地域の防災福祉コミュニティに所属する花田さん。「まじめにやってきたおかげで冷静に対応できた」と振り返る。消火器の粉を全身に浴びて真っ白になり「家に戻ると妻に驚かれましたが、誇らしく思ってもらえたようでうれしかった」と笑顔を見せた。

 菊地勝治署長は「消防が駆け付ける前の初期消火や人命救助は、本署が目指すような最善の初動対応だった。この経験を地域住民の皆さんにも伝えてほしい」と敬意を示した。(末吉佳希)

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