がん治療や看病 経験共有 長崎・平戸アネモネ会 「カフェ」参加者募集

がん治療や看病の経験を語り合う参加者=平戸市未来創造館

 長崎県平戸市を拠点にがん患者やその家族らの相談・支援に取り組む「平戸アネモネ会」は、治療や看病の経験を語り合う「アネモネカフェ」の参加者を募集している。同市内でこのほど開いたカフェには県北地域の約10人が参加。患者の悩みや看病の苦労などを互いに打ち明け、それぞれの思いを共有した。
 同会事務局によると、がん患者は自らの病名や手術後の通院などを周囲に明かさず、悩みや不安を一人で抱え込むことが多いという。とくに県北地域では、がん患者らを支援するボランティア組織や治療・看病の苦労などを理解し合う場も少なく、同会はカフェの開催などを通した「支え合い」の提供を目指している。
 5月中旬に開いたカフェでは、約20年前に父親のがん告知と入院、看病のための病院通いを経験した市内の60代女性が「(体調を崩し、検査のため)大村の病院に連れて行くとき、父が初めて私の運転する車に乗った。病院で2週間の余命宣告をされ、本当に2週間で亡くなった」と振り返った。
 その時の心境を「まさか、平戸に連れて帰れないとは思わなかった」と吐露し、「夕方に仕事を終えてから毎日、往復6時間以上かけて看病に通った。当時高校生だった娘が一緒に来てくれたことが支えになった」と家族の支援の大切さを強調した。
 参加者はそれぞれ、検診で早期発見につながった経験や手術、抗がん剤治療の副作用のつらさなどを語り、共感し合った。
 同会はホームページや交流サイト(SNS)で相談なども受け付けている。事務局は「会の存在を知ってもらい、相談先としての役割を果たし、『カフェ』も年2回のペースで続けたい」などと意気込みを語った。

© 株式会社長崎新聞社