佐賀県重要文化財「鍋島更紗秘伝書」を展示 佐賀県立博物館常設展第2期

「木版摺更紗着物」や県重要文化財の「鍋島更紗秘伝書」などが並ぶ常設展=佐賀市の県立博物館

 佐賀県の特徴ある自然や歴史、文化を紹介する県立博物館の常設展「佐賀県の歴史と文化」の本年度第2期展示が開かれている。自然や考古、美術などの歴史をたどる展示に加え、「鍋島更紗(さらさ)」のコーナーも設け、県重要文化財「鍋島更紗秘伝書」などを並べている。入場無料。7月30日まで。

 木版と型紙を組み合わせて染める鍋島更紗は佐賀藩の御用品として伝わり、技法は一子相伝で守られたが、継承者が途絶え大正期に断絶した。独特の技法を記した秘伝書などを元に、染色家の故鈴田照次さん(白石町出身)が鍋島更紗を復元、木版摺(もくはんずり)更紗の技法を確立した。

 常設展では秘伝書に加え、鈴田さんの作品「木版摺更紗着物」を展示する。「木版摺更紗着物 山茱萸文(さんしゅゆもん)」は、一つの枝に複数の実が付いた山茱萸を描き、全体を淡いピンクで染めた。着物の美しさが感じられる作品になっている。

 学芸員の松本尚之さんは「鍋島更紗をはじめ、佐賀の特徴ある歴史や文化に触れられるいい機会。夏休みなどを利用し、年齢を問わずに足を運んでもらえれば」と話す。

 「木版摺更紗着物」は期間中に何度か入れ替えを行う。午前9時半から午後6時まで。月曜休館。問い合わせは県立博物館、電話0952(24)3947。(坂本有佐)

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