ウサギやキリギリス、オオルリ生き生き 動物や昆虫描いた企画展始まる

春の狩りを描いた「蒐猟」など、動物が登場する活気に満ちた作品が並ぶ会場(京都市北区・京都府立堂本印象美術館)

 京都市北区の府立堂本印象美術館で17日、企画展「大好き!印象の動物・鳥・昆虫」(京都新聞など主催)が始まった。日本画家堂本印象(1891~1975年)の、生き物を描いた作品を集めた。春の野に遊ぶウサギや夏の情景を引き締めるキリギリスなど、生き物の存在で画面が活気づいている。

 印象は動物だけをじっくりと描くよりは、ある場面の構成要素として動物を登場させることが多かった。「楠公父子」は楠木正成と正行の今生の別れを描くが、深刻な表情の2人に比べて馬は落ち着かず、戦場のざわめきを感じさせる。「蒐(しゅう)猟」は春の狩りに沸き立つ馬上の人を、追走する犬がもり立てる。

 回廊には野鳥を中心とした写生画を展示。オオルリの羽の色分けや爪の鋭さ、膨らんで目を閉じたウソのまぶたなど、細部まで観察が行き届いているのが分かる。絵巻物の「西遊記」は華麗な色彩の中、悟空や沙悟浄ら登場人物が生き生きと動き回るのが楽しい。

 11月23日まで。有料(65歳以上は証明があれば無料)。

© 株式会社京都新聞社