京都府宮津市出身のミステリー作家・山崎洋子さん(75)が、与謝野町岩滝の与謝野町立図書館にサイン本4冊を寄贈した。中学時代に同級生だった同図書館運営協議員の水上省悟さん(75)=岩滝=が山崎さんに宛てた手紙がきっかけで、水上さんは「思いが通じ、本を送ってもらえてうれしい」と喜んでいる。
山崎さんは14歳まで宮津市で過ごし、コピーライターなどを経て作家に転身した。1986年に「花園の迷宮」で江戸川乱歩賞を受賞。現在は横浜市で創作活動を続けている。
水上さんと山崎さんは宮津中に通っていたが、同じクラスになることはなく接点はなかった。だが、10年前に催された同窓会で交流ができ、水上さんは山崎さんの小説やノンフィクションを読むようになったという。
昨年11月には宮津市立図書館開館100周年を記念し、山崎さんが講演した。傾聴した水上さんは「幼少期の苦労を図書館で本を読むことで乗り越えた」という山崎さんの逸話に、人間性や精神力の強さを感じ、引かれたと振り返る。
講演をきっかけに水上さんは「地元出身の山崎さんの本をより多くの人に読んでほしいという思いが強くなった」といい、山崎さんに著書の寄贈を手紙で依頼した。新聞の読者投稿欄に載った山崎さんの講演の感想も同封し、熱意を込めた。
すると、山崎さんから「ぜひ読んでいただきたい著書」と直筆の手紙と、サインがしたためられた4冊が届き、4月末に町立図書館に納められた。
水上さんは「忙しい中に送ってもらい、山崎さんの優しさを感じた。今度は、与謝野町で図書の素晴らしさを講演してもらうのが夢です」と語った。