彼氏からの「距離を置こう」に焦ってはダメ。破局しないための方法とコツ

片思い中の人でも恋人でも、喧嘩などで仲が悪くなってしまいネガティブな感情に心が支配されると、「嫌われるかも」という不安が大きくなり落ち着かなくなります。

その状態に耐えられなくて「今すぐこうしなければ」の思いつきで動いてしまい、余計に相手から遠ざけられてしまうのが、衝動を止められない人です。

その場しのぎの言動はなぜ出てしまうのか、留まるにはどうすればいいのか、お伝えします。

衝動に走ってしまうとき、心はこう動いている

つい行動に走る心理とは

「彼氏がLINEの返事をくれないことで喧嘩になって、『頭を冷やしたいからしばらく距離を置こう』と言われました。

忙しくても少しの時間で返事ができるはず、と思う私と、『返信を考えるのが大変なときもあるから急かさないでほしい』と言う彼氏と、LINEについて考え方が違うのだと思います。

そのときは『わかった』と答えて彼氏から連絡が来るのを待っていたのですが、3日経ってもLINEは来なくて、『このままフェードアウトされるのでは』と不安になりました。

思い切って『電話してもいい?』と送ったのですが、相変わらず既読はつくけれど返事はなくて、モヤモヤがつらくなった私はその夜に彼氏の部屋を訪ねました。

LINEを送ってもどうせ無視されるので何も言わずに行ったのですが、玄関で私を見た彼は『どうしてひとりにしてくれないの?』と不機嫌で、部屋に上がらせてももらえずそのまま帰されて。

会えば話し合えると思っていた私はショックで、惨めな気持ちでいっぱいでした。

次の日に『距離を置きたいと言っているのにそれも理解してくれないし、これ以上付き合うのは難しいかも』と彼からLINEが来て、『それはイヤ』と返したら『お願いだからいきなり家に来るのはやめてほしい』と返信があったきり、彼とは一ヶ月ほど音信不通です。

もう諦めるしかないのでしょうか?」(女性/26歳/小売業)

彼氏と喧嘩になり、しばらく会わずにいようと提案されると、このまま関係が終わってしまうのではと不安になる気持ちはわかります。

それが嫌だから、自分から行動を起こすことで彼氏の気持ちをこちらに向けたいと考える心の動きも理解できますが、それはあくまでも「自分の事情」です。

彼氏には彼氏の思いがあり、落ち着いてこれからを考えたいから「距離を置こう」と言ったのに、いきなり家に訪ねて来るような彼女を見れば「そうさせてもらえない自分」を感じます。

「会えば何とかなるはず」は彼女の希望であって、彼氏の気持ちをいっさい考えていないのが問題です。

自分の思いを抱えていられずに生まれるのが「衝動」であり、相手の状態を無視したまま突っ走ってしまうことで関係は余計に悪化します。

衝動的な行動の理由は「その自分に耐えられない」

上のケースでは、女性は連絡もなしに訪ねて行った自分の行動について「悪かったと思うけれど、3日も連絡がなかったら不安になりますよね?」と、どこかで彼氏のせいにしようとするのが見えました。

極端にいえば「こんな行動を取らせる彼氏のほうが悪い」と思いたいのが彼女の気持ちであって、それは部屋に上がらせることもせずわずか数分の立ち話で自分を帰らせた彼氏への恨みも、含まれているのかもと感じます。

「距離を置こうと言われていたのだよね?」と尋ねると、「そうですが、具体的に何日とか出なかったので、いつまで待てばいいのかわかりませんでした」と女性はうなだれます。

先の見えない中途半端な状態は彼女にとって不安でしかなく、筆者は「まだ3日」と感じても彼女には「もう3日」、自分がどう思われているのかわからない日々が苦しかったのだとわかります。

その結果「こちらから会いに行けばいいのだ」と思いついて行動を起こし、彼氏の嫌悪を深める状況になってしまいました。

衝動は、「その自分に耐えられない」ことで生まれます。

「とにかく何とかしなければ」の焦りが強く、相手の状態や思いを確認する心の余裕はありません。

嫌われたくない、仲直りしたい、そう思うけれど「叶わない可能性がある」とき、振られる自分を回避するために極端な行動に出て相手の気持ちを変えようとします。

その自分が相手にどう思われるか想像できないため、本当ならやらないほうがいいことでも「自分のために」起こしてしまうのが問題といえます。

相手の気持ちを想像したことはある?

衝動を起こされた側の気持ちは?

筆者の体験ですが、20代の頃恋愛関係になりそうな男性がいて喧嘩になり、「もう離れよう」となったとき、その男性が「絶縁状」を筆者のアパートのポストに投げ入れていたことがあります。

「あなたとは金輪際縁を切る」と書いたものをわざわざ相手の家まで届けるような衝動も、「そうしなければ気がすまない」という男性の事情であり、そんなものをいきなり読まされるこちらの気持ちは一切考えていません。

行動を起こした側はすっきりするかもしれませんが、起こされた側は、ネガティブな現実を押し付けられて気が滅入ります。

後に男性にこのときの話を聞くと「そうしたかったから」と真顔で返してきて、自分のしていることに違和感はないし、もっと言えば「あなたがそうさせたのだ」と責任をこちらに持ってくるのが垣間見えました。

今回のケースでも、彼女は自分の行動について「距離を置こうと言ったきり3日も連絡をくれない彼氏」を暗に責めており、だから突然家に行くようなことを自分に「させた」のだとする気持ちが見えました。

対して彼氏の気持ちを想像すると、彼女と離れて落ち着いた日々を過ごしたいのに3日連絡をしなかったらその彼女が突然家に押しかけてくるような事態が起こり、動揺したのではないかと思います。

彼女がそんな行動に出るなんて予想ができなければ、避けようがないですよね。

「話し合いたい」と迫る彼女の気持ちは理解できても、「まずは落ち着いてふたりのことを考えたい自分」が置き去りにされているのがわかれば、向き合う意思は生まれません。

彼氏が目にするのは「自分を尊重してくれない彼女の姿」であり、心はまだ解決に向かっていないのに無理やり彼女のほうを向かされる窮屈さが不機嫌を生みます。

彼氏にとっては、「自分がこうさせた」のではなく「自分を無視して一方的に関わりを押し付けてくる」のが彼女への気持ち。

この大きなすれ違いが、ふたりの間にある溝をさらに深くします。

衝動は誰のためにもならない

好きな人から遠ざけられる自分を感じたとき、何とかしたいと思うのは当たり前です。

迎えたくない結末を避けるために、「極端な行動を起こすことで自分に合わせてほしい」が衝動を止められない人の本心ではないかと筆者は感じます。

「好きなら受け止めてくれるはず」という甘えがなければ突然彼氏の家に訪ねていくようなことはできず、拒絶されたら行動の理由を相手のせいにして反省しない姿も、自分のあり方を相手に依存させているからです。

それが伝わるから相手はさらに遠ざけるのであり、その迎えたくない結末を結局はみずから引き寄せているともいえます。

「ネガティブな現実に耐えられない」のは、自分の事情でしかありません。

衝動は相手のせいによって生まれるのではなく、自分の感情を正しく扱えずに相手に何とかしてもらおうとする依存です。

上のケースを客観的に見れば、女性のほうも彼氏と同じように冷静さを取り戻す時間に身を置くことができれば、その後何日経とうとも、いずれ落ち着いて話し合いができたのではないでしょうか。

問題の解決は、「LINEについてお互いの考え方を理解してストレスのないやり取りを一緒に考える」ことであり、それが彼女の望んだ「幸せな交際が続く未来」ではなかったでしょうか。

その可能性をみずから狭めてしまったのが衝動の結果であり、一方的な関わりは誰のためにもなりません。

相手の状態や気持ちを無視して動いても幸せな結末にはならない、と心得るのが衝動を止める最初になります。

感情をうまく扱うためには?

「思考を止める」アクションを

行動には結果が必ずつきまといます。

衝動で動いてしまう人は、その結果に「受け入れてもらえる自分」を想像して相手の気持ちを考えないため、失敗します。

自分の感情なら責任は自分にあり、起こす言動もまた、相手のせいにはできません。

「今すぐ何とかしなければ」の焦りを止めるためには、動きたい気持ちが強くなったらまずその思考を止めるのが最善。

筆者は深呼吸をすすめていて、目をつぶり大きな呼吸を繰り返すことで、心の動悸を収めることに役立ちます。

目にする景色を変える、脳に別の刺激を入れるのも有効で、たとえ集中できなくても好きな映画を流してみたり漫画を読んでみたり、「動きたい」の胸のざわつきをそらす何かを用意しましょう。

ある女性は、今の自分の感情を客観的に知るために「紙に書き出す」ことをやっていると話してくれて、生まれた衝動を相手に消化させるのではなくみずから何とかする手段で、冷静さを取り戻していました。

焦りを止めるアクションを、まずは心がけたいですね。

衝動は誰のためにもなりません。

ネガティブな自分を相手に残す言動ではなく、望む未来を正しく見る力がその後の自分自身を作ります。

「損をするのは自分なのだ」と思えば、闇雲な言動の結果を想像できるはずです。

離れた相手を尊重する

上のケースでは、その後女性は「彼氏にとってはもう自分なんてどうでもいいのだ」とヤケになり、落ち込んでいました。

それでも、時間が経てば彼氏の気持ちを無視した自分の弱さを受け止めることができ、改めて「自分勝手で本当にごめんなさい」と彼氏に謝罪のメッセージをLINEで送りました。

彼氏からは「わかった」と返事が届いたそうで、今はまだ完全に仲直りは叶っていませんが、少しずつコミュニケーションが復活しています。

彼女が自分の言動や関わり方についてちゃんと見ることができた、と謝罪のメッセージで伝わったことで、彼氏のほうは向き合う気持ちが生まれたのかもしれません。

「尊重してもらえた」と実感する機会があれば、それがわだかまりが解けていくきっかけになります。

期待通りに応えてくれない相手を責めるのではなく、「それをした自分」を正面から見る勇気が、ふたりにとって居心地のいい距離感を作る基礎となります。

関係は対等だからこそ、自分の感情をきちんと見る姿勢で、相手のことも尊重していきたいですね。

衝動で動いてしまう自分に悩む人もまた多いですが、原因は相手への依存だと筆者は考えます。

相手を自分とは違う人間なのだと尊重する姿勢があれば、極端な行動でショックを与えるようなやり方は避けるはずです。

衝動は誰のためにもならないのだという現実を、忘れてはいけません。

(mimot.(ミモット)/ 弘田 香)

© ぴあ朝日ネクストスコープ株式会社