阪神内燃機工業の船舶用エンジン 創業105年の節目に累計生産1万2000台達成、兵庫・播磨工場で式典

阪神内燃機工業が船舶用エンジンの累計生産1万2千台達成を記念して開いた式典。スイッチが押されると、エンジンが稼働した=兵庫県播磨町新島

 阪神内燃機工業(神戸市中央区)は、船舶用エンジンの累計生産1万2千台を達成した。22日に同社播磨工場(兵庫県播磨町)で式典を開催。創業105年で迎えた節目に、木下和彦社長は「さらなる成長に向けた通過点。今後もお客さまに喜ばれ、地球環境に対応した製品を届けるため、全社を挙げて取り組むことを約束する」と誓った。(大島光貴)

 同社は1918(大正7)年、石油発動機製造の阪神鉄工所として創業。漁船用エンジンを手がけ、29年に最初のディーゼルエンジンが完成、37年には自社設計のエンジンを開発した。低速4サイクルエンジンを主力とし、低燃費を強みに、内航船向けで高いシェアを持つ。96年に累計生産1万台を達成した。

 1万2千台目のエンジンは、コンテナ内航輸送、井本商運(神戸市中央区)向けのコンテナ船に搭載される。式典で同社の井本隆之社長が始動のスイッチを押すと、試運転がスタート。くす玉を割り祝い合った。

 同工場建屋の隣では、2024年1月の稼働に向け「播磨高度研究棟」の建設が進んでいる。海運大手の商船三井(東京)などと取り組む国内初のメタノール燃料の内航タンカー建造を皮切りに、メタノールエンジンの試運転工場と位置付ける。

 メタノールはクリーンエネルギーとして期待が高く、二酸化炭素(CO2)や硫黄酸化物(SOx)の排出を抑えられる。木下社長は「カーボンニュートラル(温室効果ガス排出の実質ゼロ)に近づけるエンジン。完成させて、需要に応えられるように供給できれば」と語った。

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