「別府八湯温泉道」5日間で名人取得 聴覚障害の永井さん「やろうと思えば何でもできる」【大分県】

名人のタオルと認定状を受け取り喜ぶ永井恒さん=別府市

 【別府】聴覚障害のある浜松市の永井恒さん(67)が別府市の湯巡りスタンプラリー「別府八湯温泉道」に挑み、5日間で88カ所の入湯を達成。「名人」を取得した。「温泉巡りは楽しかった。別府の湯は熱かったけど」と笑顔を見せた。

 永井さんの知人(聴覚障害者)が名人で、別府市に温泉道が存在することを聞いていたという。全国ろうあ者大会(8~11日)の開催が大分と知り、滞在に合わせて挑戦することを決めた。

 公式ガイドブック「別府八湯温泉本」を携え、徒歩やレンタカーで5日間に88湯を巡った。1日に4~10時間、多い日は30カ所で漬かった。「湯が熱い時も“郷に入っては郷に従え”と思い、我慢しました」

 5日目も午前6時半から温泉へ。堀田、塚原・火口乃泉などを巡り、88湯目は「ひょうたん温泉」(鉄輪上)だった。その足で温泉道事務局(市観光協会内)に向かい、1万914代の「名人位認定状」を受け取った。

 永井さんは先天的に耳が聞こえない。中学の時に長距離走を始め、今では「ろうあ市民ランナー」として全国各地を走っている。マラソン大会出場は850回以上(優勝220回)。別府大分毎日マラソン大会にも5回、参加。日本百名山完登も昨年達成した。「挑む」をモットーにしている。

 「やろうと思えば障害者でも何でもできると思っている。また一つ、いい思い出をつくることができた。これからもマラソンや温泉で別府を訪れたい」と話した。

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