子連れも安心して外食を 親子丼とクリームパンの店開業、スタッフほぼ全員が子育て中のママ 兵庫・丹波篠山

古民家を改修し、親子丼とクリームパンをメインで提供する「旭や」=丹波篠山市西谷

 兵庫県丹波篠山市西谷の築約120年の古民家に、親子丼とクリームパンの店「旭や」がオープンした。親子丼は丹波地域の素材にこだわり、クリームパンなどには南米チリ原産の希少なニワトリ「アローカナ」の青い殻の卵を使う。座敷やキッズスペース、授乳室も完備し、子連れも安心して食事を楽しめる。子育て中の母親がスタッフの9割を占めることも特色だ。(谷口夏乃)

 運営するのは、測量土木会社「アワケンコンサルタント」(同市細工所)。快適な子育て環境を求め、2020年3月に大阪府から移住した北村仁さん(49)と妻の京子さん(44)が、知り合った同社社長から親子丼事業の担い手を依頼され、22年秋から準備してきた。

 古民家は、風情や趣を残しながら店舗へと改修した。床板を張り替え、不要になった板や古い食器棚はカウンターとしてリメーク。トイレの天井には、いろりの煙で長年いぶされてあめ色になった「煤竹(すすたけ)」を使う。

 京子さんは、自身の経験から、子連れにうれしい設備を整えた。「本来楽しくご飯を食べるはずの外食が、小さな子どもを連れていくと周りに気を使って疲れるだけだった。子連れでもゆっくり食事を味わい、楽しめる店にしたかった」と話す。

 また、「出産で社会から離れる焦りや、急に収入がなくなる不安があった」と京子さん。市の産後ケア事業に携わる中で、同じような思いを持つ母親が多かった。一方で、働きたくても保育園などの子どもの預け先が見つからず困っている人もいた。

 そんな人たちが安心して働けるように、店で託児スタッフを雇い、子どもを預けられるようにした。京子さんは「スタッフがお母さんたちであることで、子連れのお客さんが来ても、歓迎できる。お店から子どもたちへの理解が広まれば」と期待を込める。

 子どもから大人まで食事を楽しんでもらえるよう、親子丼はいずれもみそ汁と小鉢3品つきで、通常(2千円)▽小食の人向けの小さめ(1500円)▽子ども向け(千円)-と3種類のサイズを用意する。パンはクリームパンのほか、メロンパンやミルクフランスなど6種ある。

 北村さん夫妻は「お客さんのにぎわい、従業員の働きがいなど、この店から丹波篠山を盛り上げていきたい」と話している。

 水-土曜営業。午前11時~午後3時(ラストオーダー午後2時半)、パンの販売は正午から。旭やTEL079.593.0851

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