コロナ禍の外出自粛で筋肉量低下、高まる高齢者の転倒リスク「早期チェックを」 兵庫・神戸市が400カ所で無料実施

握力などを測定して転倒リスクをチェックしてもらう夫婦=JR兵庫駅前

 新型コロナウイルス禍の外出自粛の影響で、筋肉量が低下した高齢者の転倒リスクが高まっている。神戸市は6月から、市内約400カ所で無料の「転倒リスクチェック」を開始。筋肉量が落ちると要介護状態に陥る可能性も高まるとされ、早期のリスク発見で健康寿命の延伸につなげる。(井沢泰斗)

 市健康企画課によると、3年間のコロナ禍を経て、運動不足や受診控えなどが原因で高齢者の運動機能低下が問題になっている。筋肉量が減少した状態は「サルコペニア」と呼ばれ、東京都健康長寿医療センター研究所の調査では、サルコペニア状態の場合、男性だと要介護リスクが1.6倍、死亡リスクが2倍に高まることが分かったという。

 そこで市は、駅前や区役所、薬局にチェック会場を開設。看護師や薬剤師ら専門職が、筋肉量の指標となる握力やふくらはぎの太さを測定し、健康状態も聞き取ることで転倒リスクを診断する。リスクが高いと判断された場合は、トレーニングや栄養指導などを受ける3カ月間の「応援プログラム」を案内する。

 16日、JR兵庫駅前の会場には多くの高齢者が訪れていた。神戸市兵庫区の女性(77)は夫(81)を誘ってチェックを受けた。2人で毎日1時間ほど散歩し、社交ダンス教室にも通うというが「標準よりふくらはぎが少し細めで、握力も弱かった。いつもの散歩にトレーニングも取り入れて筋力を付けたい」と話した。

 転倒リスクチェックは71歳以上の市民が対象で、12月中旬まで実施予定。会場や店舗は市のホームページで確認できる。薬局のみ要予約。市総合コールセンターTEL078.333.3330

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