「海外で売れるほど品質が高いと評判」 京都の農家の苦労、学生が学ぶ

出荷作業場で渋谷さん(左端)の説明を聞く大学生ら=八幡市岩田

 京都府八幡市の農家を大学生が訪れ、講演を聞いたり農園を見学したりする取り組みが今月行われた。果物や京野菜を育てる際のこだわりや、海外輸出を軌道に乗せるまでの苦労に理解を深めた。

 同市と、同市内に農学部のキャンパスがある摂南大(大阪府寝屋川市)は、市内で盛んな農業の振興を中心に協力を進めるため、包括連携協定を3月に結んだ。今回はその第1弾となる。

 食農ビジネス学科の1年生約100人は授業の一環で、13日と20日に分かれ、上津屋の「四季彩館」で渋谷農園と野井農園の経営者から話を聞いた。

 渋谷昌樹さん(40)は2014年からイチゴ栽培を始めた経緯について「国内外のバイヤーが集まる交易会に九条ネギを持って行ったが、果物のブースがにぎわっていたのがきっかけ」と説明した。

 海外での仕事にあこがれて輸出を始めたものの、最初の5年間は赤字続き。それでも韓国やオーストラリア産などの品質や特徴も学びながら海外で売れるイチゴを研究した結果、「海外で売れるほど良い品質ということで国内販売が伸びた。新型コロナウイルス禍の3年間は輸出の成績もよくなった」と語った。

 「ホームページに農業アーティストを目指すとあるが、どういうことか」という質問には、「同じ土と水、環境でも作り手の感性により、できるものは違う。生き物を相手に『今日と昨日の顔つきが違う』と、どこまで感じられるかが大事」と強調した。

 学生たちは出荷用の作業場や冷蔵庫なども見学した。

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