被災家屋で窃盗被害 エアコンやタイヤ 珠洲署捜査

エアコンが盗まれた被災住宅。取付用金具が残っている=23日午前9時20分、珠洲市正院町正院

  ●住民「火事場泥棒やめて」

 最大震度6強に見舞われた珠洲市で、被災家屋からエアコンやタイヤが盗まれる被害が23日までに2件確認された。いずれも住民が被害届を提出し、珠洲署が窃盗事件とみて捜査している。このうち1件は「全壊」と判定され、5月の地震後は空き家となっていた。住民は「火事場泥棒のようなまねはやめてほしい」と憤っている。

 被害はいずれも、地震の揺れが激しく、家屋の損傷が多かった正院町正院で確認された。

 正院町に住む浦秀一市議によると、被害に遭った住民が21日にエアコンを取り外そうと全壊と判定された住宅に入ったところ、昨年春に購入したばかりのエアコンが何者かに持ち去られていた。地震の影響で戸がゆがみ、被害当時は鍵を掛けられない箇所があったという。

 この住宅から100メートルほど離れた別の住宅の倉庫では、アルミホイール付きのスタッドレスタイヤ12本が持ち去られていた。

 被害者の隣に住む80代女性は21日午前9時ごろ、見知らぬ男が倉庫からタイヤを運び出す様子を見たという。男は40歳前後で身長は170~180センチくらい。黒か紺色の服を着ていたという。倉庫は一部が損壊しており、災害ボランティアとして活動する人もいることから「隣の家の人に頼まれた人かと思った。泥棒と聞くと怖い」とこわばった表情で話した。

 浦市議は「住民が気づいていない盗難被害は、ほかにもあるのではないか」との懸念を口にした。

 珠洲署はパトロールを強化するほか、防災行政無線で注意を呼び掛けている。

エアコンが盗まれた被災住宅

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