【送迎バス】安全装置設置状況…約70% 静岡県内593台の内6月末までに418台が設置完了見込み 22日 県発表

2022年、幼稚園の送迎バスに女の子が置き去りにされ、亡くなった痛ましい事件があった。国は「送迎バス」に「安全装置」の設置を義務付けたが、静岡県内の設置状況は?専門家は「装置に頼ってはいけない」と注意を呼びかけている。

2022年9月、牧之原市の「川崎幼稚園」で、3歳の女の子が送迎バスに置き去りにされ、重度の熱中症で亡くなった。この事件を受け、国は2023年4月から全国の保育園や幼稚園などの全ての送迎バスに「安全装置の設置」を義務づけた。国は“設置の目標期限”は6月末までとし、暑さが本格化する前に設置をするよう呼びかけている。県は22日、県内の設置状況を発表。6月末までに設置が完了する見込みは593台の内、418台で全体の約70%だという。

(県こども未来課 鈴木安由美 課長)

「国から6月末までに早期に設置してくださいという推奨があり、施設の方で設置しようと頑張っていただいた」

こちらは静岡市葵区の「とこは幼稚園」。園は3台のバスを所有していて、3台とも6月上旬に「安全装置」を設置した。

エンジンを切るとバスの最後部に取り付けた装置から音が鳴りはじめる。音を止めるには、運転手がスイッチを押しに行く必要があり、これにより“バスに残った子どもがいないか”「確認を促す仕組み」だ。実際に使用している運転手は…。

(運転手 外川 稔さん)

「人間に100%はない、この装置で助けてくれる、付いたことはありがたい」

この園では2023年2月ごろから、どのような「安全装置」にするのか業者と相談をしてきた。池田美穂園長は「安全装置」を選ぶ上で、“気を付けた点”があるという。

(とこは幼稚園 池田美穂 園長)

「業者に相談してメンテナンスや扱いやすさを基準に決めた」「私たち添乗職員も運転手のことも信頼はしているが、その装置があることで、万が一やもしもの時に安心感はある」

3歳の命が奪われるという痛ましい事件。あれから10か月が経とうとしている。県内でも「安全装置」の設置が着々と進んでいるが、幼稚園などの安全管理に詳しい専門家は「装置を設置したことで安心してはいけない」と注意を促す。

(常葉大学教育学部 木宮敬信教授)

「安全装置の義務化は、点呼等による所在確認を補うものだと明示されている、従ってまず最初に義務化されている『人による点呼』をやらなければならない」「安全装置を付けたことによって、点呼がおろそかになるのは本末転倒、従ってまずは人の目で確認することを徹底していかないといけない」

また、木宮教授は「安全装置の取り扱いをしっかりと把握し、不具合や故障がないよう日頃のメンテナンスも重要」だと話している。

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