更地化→復旧→また更地…短期間で繰り返される公園 福井市の費用7000万円「工事一本化できず」

更地化と復旧工事が繰り返されている若草公園=6月8日、福井県福井市西開発2丁目
福井市・若草公園を巡る経緯

 福井県福井市内の公園で、更地化と再整備が短期間に繰り返されている。北陸新幹線の高架工事で更地になった公園を、独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」が2021年7月にリニューアルした後、福井市が地下に冠水対策の調節池整備を決めたためだ。リニューアルから1年2カ月後に再び更地となり、今度は市による再整備が行われる。公園設備の撤去や復旧にかかる市の費用は計7千万円余り。市は「日程の折り合いがつかず、復旧工事を一本化できなかった」と説明している。

 同市西開発2丁目の若草公園は、0.3ヘクタールの敷地の一部が北陸新幹線の高架下にかかっている。市公園課などによると、高架工事のため、鉄道・運輸機構から占用許可の申請があった。公園は更地になり、17年12月から資材置き場などに使われた。その後、機構の復旧工事(約7800万円)で遊具、あずまや、植栽などの大半が一新され、21年7月に供用が再開された。

 一方で20年4月、公園周辺の道路冠水対策を巡り、市に地元の連合自治会から要望書が提出された。既に機構の復旧工事が始まっていた21年3月、市は調節池の具体的な検討や設計を予算化。調節池の場所を公園地下にすると正式に決めたのは、供用再開後の同年秋だった。

 公園は22年9月、市河川課の工事で再び更地に。撤去費約850万円を含む調節池整備事業(約1億3千万円)で、地下にコンクリート製の水槽などが整備された。市が今年9月末までの工期で行う公園の復旧費は約6280万円に上る。

 「冠水対策は要望書の提出前から常々求めていた」という地元自治会の役員の一人は「公園の復旧工事は二度手間で、元は税金だ。市や機構が工夫すれば縮減できたのではないか」と首をかしげる。

 市河川課は要望書が出された時点で、公園が調節池の候補地となる可能性があると認識していたという。そのため、最初の復旧工事が始まる半年前、機構に調整池の構想を提示。「工事を遅らせられないか協議したが、スケジュールが合わず実現しなかった」(同課)。機構は取材に「調節池の工期や場所が未確定だったため、当初の契約通り復旧工事を行った」と答えた。

 また、公園のレイアウトや設備について機構と打ち合わせを重ねていた市公園課は「調節池の計画が正式に決まっていない段階で、機構側に強く要求できないという認識だった」という。

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 結局、復旧工事は一本化されず、数千万円規模の工事が繰り返されることになった。市河川課の担当者は「結果的に2度目の復旧工事をすることになったが、地元要望を受けて相当のスピード感で調節池整備を事業化できた点は理解してほしい」と話している。

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