京都産の芋焼酎が金賞「いつか京土産に」 亀岡の紫芋使い、和食に合う味追究

ともに金賞を受賞した紫芋焼酎(亀岡市古世町1丁目・亀岡蒸留所)

 京都府亀岡産の紫芋を使い亀岡市内で製造した焼酎が、東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2023で金賞を受賞した。芋焼酎ながら癖が少なく、和食の味を引き立てる味わいという。府内で本格的な芋焼酎を製造するメーカーは少なく、製造元は「『紫芋といえば亀岡』と言われるほどの特産に育て、京土産や父の日などの贈答品として需要を開拓していきたい」としている。

 製造元は小売りや飲食店を展開しているサンフェステ(亀岡市東つつじケ丘)。受賞したのは、3~5年タンクで寝かせた「古都の煌(きらめき) 長期貯蔵」と、オーク樽(だる)で1年近く熟成させる「ときはいま オーク樽貯蔵」。いずれも同市旭町の契約農家が育てた紫芋「パープルスイートロード」を原料に、亀岡蒸留所(同市古世町1丁目)で仕込んでいる。

 もともと、ポリフェノールが豊富に含まれるパープルスイートロードの活用策として三煌産業(同市大井町)が2008年に企画。廃業予定だった福井県鯖江市の金鱗酒造から社長で杜氏(とうじ)の竹内和満さん(61)と蒸留器やタンクなどを受け入れ、生産を開始した。

 日本酒と酒粕(さけかす)焼酎を製造してきた竹内さんは、紫芋を原料とする酒造りは初めてだったが「きちっと造れば良い香りと味を出してくれる原料で、いい出会いをさせてもらった」と、焼酎と紫芋の相性に驚く。一時は在庫がたまるなど生産を止めた時期もあったが、食中酒として和食に合う味わいを追究。21年にサンフェステが事業を引き継ぎ、市のふるさと納税返礼品への出品などで引き合いが増え、今年は20トンの芋から15キロリットルを生産した。

 今回、初出品、初ダブル受賞となり、竹内さんは「これまで少し高めの価格帯ながらもリピーターが多かったので評価されるとは思っていたが、受賞できうれしい」と喜ぶ。

 同社では、焼酎搾りかすの一部を堆肥作り用に提供するなど、農業との関わりも模索している。谷龍一郎社長(50)は「将来的には自社農園での栽培や、搾りかすの活用でごみを出さなくするなど、地域で循環する仕組みもつくっていきたい」としている。

© 株式会社京都新聞社