ミス続発のマイナカード自主返納、富山県内28件

自主返納が増えているマイナンバーカードの申請窓口=富山市役所

  ●8市町、今年度 「トラブル多く不安」

 富山県内でマイナンバーカードを自主返納する事例が今年度、計8市町で少なくとも28件あったことが24日分かった。全国で別人の情報とひも付けするなどミスが相次いだことが影響しているとみられる。返納者は「トラブルが多すぎる」「今後が不安」などと市町に伝えている。

 富山新聞社が全15市町村の担当者に取材、集計した。富山市では4月以降、12件の返納があり、昨年度の14件に迫るほど増えている。市によると、返納者の大半は高齢者で「使わないから」との理由も目立つという。

 砺波市では「不信感がある」として5人が返納した。魚津市では今月だけで4件の返納があり、担当者は「5月以前にもあったが、数を把握できていない」とした。

 氷見市では6日に60代女性1人が返納した。失効申請書欄には「不祥事多発。今後の運用への不信、不安」と書かれていた。同市では5月にも、70代の男女2人が申請中のマイナカードの交付取り消しを願い出た。

 マイナンバーを巡っては、コンビニで別人の住民票が交付されたり、給付金の受取口座が別人の口座で登録されている誤登録などのケースが確認されている。

  ●県内でミス5件

 県内では、富山、高岡、射水の3市で、カード関連のトラブルが計5件あった。マイナポイントが申請者とは別人に付与されるミスが3市で1件ずつ、富山市と射水市では本人が保険証としての利用を希望していないのに誤って登録した事案が1件ずつあった。

 カードは2016年に交付が始まった。昨年6月に最大2万円分のポイントがもらえる「マイナポイント第2弾」が全面スタートすると申請者が急増した。デジタル社会の推進のため、政府が普及に力を入れてきた。全国でトラブルが相次ぐことについて、高岡市の担当者は「不安を払拭(ふっしょく)するためのPRを国の方で進めてもらいたい」、小矢部市の担当者は「利点を丁寧に説明し、不安を軽減したい」と述べた。

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